ワクチンを日本で処分したいファイザー、コロナバブルを続けたい日本医師会… 「5類移行」への不満を隠さない人々

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 闇に覆われた隘路から、ようやく抜け出したといえようか。新型コロナウイルスの感染症法上の分類が5月8日、晴れて「5類」へと引き下げられた。3年余りの忍従をへて巷は日常を取り戻しつつあるのだが、一方で異なことを口にする面々もまた、健在のようで……。

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 結核やSARSなどが該当する「2類」相当から、季節性インフルエンザなどと同等の「5類」へと位置付けが下げられることに伴い、新型コロナとの向き合い方に大きな変化が生じるのは言うまでもない。あらためておさらいすると、

「医療機関での受診については、これまで発熱外来など約4万2千の外来診療で行われてきましたが、これを全国およそ6万4千の医療機関に広げる体制がとられます」

 とは、全国紙デスク。

「陽性と判明しても外出自粛は義務でなく、発症日を0日目として5日目までは外出を控えることが『推奨』されます。濃厚接触者の待機は不要になりました。また感染者数の『全数把握』は終わり、8日からは季節性インフルエンザと同じく、全国約5千カ所の指定された医療機関から週に1回、患者数の報告を受ける『定点把握』に変わります。死亡者数についても毎日の発表はなくなり、厚労省が集計する人口動態統計で、亡くなった月のおよそ2カ月後、総数が公表されることになります」(同)

日常を取り戻す機運

 当初は未知のウイルスについての評価が定まらずやむを得なかったとはいえ、日々の生活はこの3年余り、外界と自らの体とを隔てる一枚の布によって脅(おびや)かされ、またむしばまれてきたと言っても過言ではない。マスクの着用については、すでに3月13日、屋内外を問わず「個人の判断が基本」と緩和され、4月1日からは学校でも着用を求めない方針が、文部科学省により示されている。

「同時に、学校では給食の際に『黙食の必要なし』との通知がなされました。また5類移行後は、児童や生徒の体温チェックや日常的な消毒作業は不要となり、教室内の座席間隔の確保も、文科省の衛生管理マニュアルから削除されました」(同)

 日常を取り戻す機運は、確実に高まっているのだ。

ますます意気軒高

 そんな折、さる5日には世界保健機関(WHO)のテドロス事務局長が会見し、約3年3カ月続いた「緊急事態」宣言の終了を発表。同時に「脅威は終わっていない」と、クギを刺すのも忘れなかったのだが、国内に目を転じても、コロナ禍で跋扈(ばっこ)した「怪談作家」の勢いはいっこうに衰えず、それどころかますます意気軒高なのである。

 その筆頭格は3年もの間、専門家グループのまとめ役として政府に提言を行ってきた新型コロナウイルス感染症対策分科会の尾身茂会長(73)に他ならない。何しろ、さる2日には共同通信のインタビューに応じ、

〈まだ完全に普通の病気にはなっていない〉

〈インフルエンザのような季節性はなく、流行がずっと続いている〉

〈5類になったからといって感染者がすぐにゼロになるということはない。感染が、またいつ急激に増えるか分からない〉

 などと言い連ねていたのだ。

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