祖父母の「孫費用」は年間75万円! 少子化を救う「孫育て」のカギはお金?

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 友人と遊び、仲間と集(つど)う。大型連休は普段滞りがちなコミュニケーションを深める絶好の機会である。そして何より家族だんらんの週間でもあるわけだが、そこには落とし穴が。祖父母、親、そして孫。家族3世代に立ちはだかる壁。専門家が「孫育て」の哲学を説く。【宮本まき子/家族問題評論家】

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 子どもを育てることができるのは、一体“誰”でしょうか――。

 この30年間、「静かなる危機」と呼ばれた少子化にやっとスポットライトが当たったのは、2022年の出生数が想定より11年早く80万人を割り、このままでは今世紀中に6千万人の「人口小国」となるのがほぼ決定したからでしょう。日本人は「絶滅危惧種」になると世界からも警告されていたのに、政治家は「票に直結しない」と問題を先送り。近未来の労働力&年金の財源確保の見通しが立たなくなって、やっと岸田文雄総理が枠組みだけの「異次元(?)の少子化対策」を発表しましたが、WBC決勝の決定打のように誰もが納得し、共感する内容となるかどうかは未知数です。

子育てを手助けできる格好の「人の手」

 共働き家庭が過半数の時代に「社会全体で子育て」するという発想は必要不可欠ですが、「社会」とは具体的には何を指すのでしょう。国家? 制度? 組織? 地域共同体? 究極のアナログ仕事である「子育て」に関する限り、社会とは「その子が属する家庭の地縁・血縁によるセーフティーネットがある小さな世間」だと断言できます。「国家」はオムツを替えてくれないし、「組織」は授乳してくれません。「人の手と言葉」が子どもを育てるのです。

 親、家族、親類、隣人、保育士、教師など、血が通った本物の手が子を抱きしめ、褒めて慰めて安全を守るセーフティーネットになるのです。「国家が経費を払うから、それぞれの小さな社会で最善の子育てをしてほしい」と平易な言葉で言えばいいのに、「異次元」などと気取るから、煙にまいていると勘ぐられる。そして高齢社会の日本には、「最善の子育て」を手助けできる格好の「人の手」があるのです。

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