NHK「のど自慢」 番組責任者が明かす“予選会の知られざるカラオケ活用法”

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 NHKの林理恵メディア総局長は、4月19日の定例会見で「NHKのど自慢」(NHK総合、ラジオ第1)の伴奏が生バンドからカラオケ音源に変わったことに触れ、「今回採用したことで、この仕様は当面続きます」と説明した。(全2回の2回目)

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 ご存知の方も多いだろうが、カラオケ音源に変わったことについてネット上には今も批判的な意見が投稿されている。Twitterから代表的な意見を紹介しよう。

《「生演奏で歌ってみたい」を最大の理由として「のど自慢」へ応募した自分からすると悲報でしかない》

《『のど自慢』は人生において何度も出場できる場ではないと思う。じゃあ生演奏で歌わせてあげなよ》

《一般人がプロの演奏をバックにして歌うという番組最大の醍醐味を無くしたらただの民放のカラオケ番組と変わらなくなってるやん》

 なぜカラオケ音源に変更したのかNHKに取材を申し込むと、番組チーフプロデューサーの中村雅郎氏(53)から話を聞くことができた。

 変更した理由は、インタビュー記事の第1回、

▼NHK「のど自慢」はなぜ生バンドからカラオケになったのか チーフプロデューサーが苦渋の決断を語る

で詳報した。この稿では以下に箇条書きで紹介する。

◆コロナ禍で出演者同士の距離を確保する必要が生じ、バンドメンバーと出演者の全員が同じステージ上に並ぶことはスペース的に無理だと判明した。現在は感染拡大が沈静化しているが、予想されている第9波の襲来や別の感染症が流行するリスクは常に存在する。

◆DA PUMPやT.M.Revolution、YOASOBI、Ado、米津玄師、音声合成ソフト「初音ミク」といったアーティストの曲を歌う出演希望者も多い。こうした楽曲はシンセサイザーなどによる自動演奏が一般的で、生バンドでの再現は厳しい。予選会ではアレンジして演奏してきたが、参加者が「同じ曲には思えない」と混乱する様子も目立った。

◆「のど自慢」は地域密着を重視し、バンドも北海道、東北、関東、東海・北陸、近畿、中国、四国、九州・沖縄と、ブロックごとに結成していた。近年はのど自慢に対応できるようなミュージシャンの人材不足が問題となっていた。地方では代わりのミュージシャンが見つからないケースが増えていた。

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