「ラーメン組長」が娘婿を刺殺された顛末 6代目山口組・司忍組長が激怒した一件とは

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ヤクザの世界の複雑な人間関係

 テールラーメン店主と6代目山口組3次団体トップを兼ねていた余嶋学・湊興業組長が射殺された事件では、ラーメンそのものの評判や余嶋組長の人柄もあって、通常の暴力団絡みの事件に比べると、同情の声が目立つようだ。実際、被害者には違いないのだが、一方で、当然のことながら余嶋組長に強面の一面がなかったわけではない。ヤクザの世界の人間関係は極めて複雑で、カタギに把握するのは難しい。複雑に入り組んでいるうえに、時期によって関係性も変化する。

 元山口組系義竜会会長の竹垣悟氏(現在は、暴力団組員の更生を支援するNPO法人「五仁會」を主宰)も、また、辿っていくと余嶋組長と接点があったことがわかったのだという。さらに当時の話を振り返ると、余嶋組長を襲った悲劇を巡り、6代目山口組司忍組長が激怒したこともあった――現役時代の見聞をもとに『懲役ぶっちゃけ話 私が見た「塀の中」の極道たち』(清談社Publico)を執筆した竹垣氏が、その不思議な縁について振り返る。

余嶋組長が買いたいと名乗りを

「私が現役のヤクザ時代の舎弟に榊猛氏という人物がいます。榊氏は現在75歳なのですが、現役の頃は彫師をやっていました。彼から少し前に連絡があって、こんな話をしてくれたのです。かつて榊氏は神戸・須磨の妙法寺エリアに土地を持っていたことがありました。そこで彼の奥さんが美容院を経営していたのですが、1995年の阪神大震災後に売りに出したところ、買いたいと名乗りを上げたのが余嶋組長だったそうです」

 と、竹垣氏。土地建物を買い取った余嶋組長はそこを改築し、自身の事務所を移している。なお、余嶋組長はすでに弘道会の直参で、のちにラーメン店主の顔を持つことになる。暴力団組長は、ヤクザの世界でエリートと言っていい経歴の持ち主だった。

「今回、ラーメン店で銃殺されるまで事務所はそこにありました。改築当初は建築費をケチったのかわかりませんが、バラックのような建て付けだったようで、上部組織の弘道会本部からNGが出て、2階建ての立派な事務所に建て替えたということでした」(同)

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