妻とだけは“できない”夫が語った「お母さん」との原体験 「女って怖いという友人の言葉を思い出した」

  • ブックマーク

Advertisement

教え子の母親と…

 彼の初体験は家庭教師をしている子のお母さんだった。19歳の夏、15歳の少年の母親から「誘惑」されたのだという。

「たぶん、お母さんは40歳くらいだったと思うんです。とにかく色っぽい人でした。夏休みに家に行ったら彼がいない。その日は部活の合宿で彼はいなかったのに、先方が僕に伝え忘れていたんです。お母さんに謝られて、せっかくだからご飯でも食べて行ってと言われて。彼女の料理がまたものすごくおいしいんですよ。喜んで食べたら、デザートも出してくれた。すっかりくつろいでいたら、彼女が『今日は夫も出張なの。泊まっていってもいいのよ』って。さすがの僕も、これはまずい展開だとわかったから帰ろうとしたんです。でも彼女が『もう一杯、コーヒーを飲んでいって』と顔を寄せてきた。ふわりといい香りが漂ってきて、もうどうしたらいいかわかりませんでしたね」

 そのまま熟女の手に落ちた彼は、それから息子の受験が終わるまで母親と関係を続けた。女性の扱い、会話、レストランでのマナーまで、彼はすべて彼女に教わったという。もちろん、性的なことも。

 受験が終わってからも彼は関係を続けたかった。だが、彼女はあっさりと離れていった。

 公私ともに今までありがとう、とささやき、家庭教師の 謝礼を渡しながら。それ以上、有無を言わせぬ強さがあった。

「女って怖いという友人の言葉を思い出しました。こんなに簡単に捨てることができるなんて……と彼女を恨んだけど、彼女は人妻ですからね。もともと僕に本気で恋していたわけではないのはわかってる。それでも、あんなにあっさり別れなくてもと大学の親友に愚痴ったら、『家庭のある女性なんだから、深追いしたらヤバいだろ。彼女はそれがわかっているんだよ。おまえは遊ばれただけなの』と言われて。ショックだったけど、確かに泥沼にならなくてよかったとも思った。同時に、女性でもそうやって若い男と遊ぶようなメンタリティがあるんだと驚きました。男女の関係といったら恋愛しかないと思い込んでいたので」

 いろいろな意味でいい勉強になったと彼は言う。たとえ女性がどんなに深い快感を覚えても、それに引きずられるとは限らないということも目から鱗だった。

 その後は「それなりに恋愛」をして大学を卒業し、中堅企業に就職した。家庭教師時代のあの「お母さんとの関係」以上に彼をときめかせる恋はなかった。

後編【「もう一生、女として見てもらえないの?」妻の圧に耐えられず、44歳夫が漏らした禁断の一言】へつづく

亀山早苗(かめやま・さなえ)
フリーライター。男女関係、特に不倫について20年以上取材を続け、『不倫の恋で苦しむ男たち』『夫の不倫で苦しむ妻たち』『人はなぜ不倫をするのか』『復讐手帖─愛が狂気に変わるとき─』など著書多数。

デイリー新潮編集部

前へ 1 2 3 次へ

[3/3ページ]

メールアドレス

利用規約を必ず確認の上、登録ボタンを押してください。