【共同親権問題】「連れ去られた初孫は、2年間小学校に行かせてもらえなかった」それでも家庭裁判所が夫婦に下した判断とは

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調査官の質問

 しかし、母親が、義務教育期間の子供を学校に通わせていなかったとしたら、話は違います。監護者としての義務を果たせていないわけですから。弁護士さんもそこに一縷の可能性を見出して、家庭裁判所への申し立てを決めたのです。

 申し立てをしてから、数ヶ月後のことでした。私の息子は調査官に呼び出され、家庭裁判所に向かいました。そこで3時間、別居前のことを根掘り葉掘り聞かれたそうです。特に、親子関係についてはしつこく聞かれたそう。ときには、「真央ちゃんを怒ったことはあるか」「そのとき真央ちゃんはどんな表情をしていたか」などと、息子と孫の関係性に溝があったと決めてかかっているような質問もあったそうです。

 さらに、家裁の調査官は、真央ちゃんの祖父母である、私どもの自宅にも来ました。そこでも同じように、別居前の様子について聞かれ、私たちはありのままを話しました。息子も、私たちも、真央ちゃんの育児をしっかりやっていたこと、息子の妻である綾子さんは、一人の時間を大切にしていたこともあり、そういう時には、息子が真央ちゃんを外に連れ出し、一緒に遊んでいたこと。祖父母としても、できる限り、真央ちゃんのお世話をしていたこと。母親側が主張しているような、虐待やネグレクトなどはなかったこと。やはり3時間ほど、全てを隠すことなくお話しました。もちろん、綾子さんや真央ちゃんにも、同じように調査官から、聞き取りをされたようです。

裁判所の存在意義

 その後、調査報告書が開示されたのですが、そこでは母親側の主張だけが一方的に採用され、息子側の主張は無視されていました。連れ去った側に監護権がある、という前提のもとに作られた印象は否めない。ある程度予想はしていましたが、やはり、目の当たりにすると、ショックは大きかったですね。

 ただ、報告書の中で希望があったのは、孫は、「私立の小学校に通いたい」と発言していたこと。つまり、こちらの要望と、孫の意見は一致していたのです。綾子さん側の弁護士は、この孫の主張を覆すべく、裁判所に対し、孫が書いたとされる、「公立の小学校に行きたい」という文書を提出してきたのです。これには流石に裁判所も困惑していましたが、困惑するにとどまり、特に何も措置を取ろうとはしませんでした。

 こうして大人が不毛なやりとりをしている間にも、真央ちゃんはずっとまともに学校に行けていないのです。それでもなぜ、監護者は母親なのでしょう。学校に行かせない親が、監護者になる、そんなおかしいことはありません。ですが、裁判所は、なんの判断も下さないどころか、「報告書でも監護者は母親と出ているし、早く和解した方がいい。このままだと子供もかわいそうだし、あなたも損をする」と、息子に言ってきたのだそうです。これには怒りを通り越して、呆れるばかりでした。裁判所の存在意義が、どこにも見出せません。こういう事態だからこそ、裁判所に判断を仰いで、問題を解決しようとしているのに……。

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