【共同親権問題】「連れ去られた初孫は、2年間小学校に行かせてもらえなかった」それでも家庭裁判所が夫婦に下した判断とは

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 現在、国会で「共同親権」を導入すべきか、大詰めの議論が行われている。そもそも、「共同親権」とは、子どもの親権を、父親と母親の双方が共同で行使しなければならないことをいう。父親または母親のいずれか一方のみが親権を行使しているように見える場合であっても、他方の親がそれに同意し、許容していることが必要である。一方、現在の日本では、もし両親が離婚した場合、親権はどちらか一方にしか認めないという「単独親権制」が導入されている。

どれだけ理不尽であっても

 こうした法体制を背景に現在頻繁に起きているのが、「連れ去り事件」だ。これは、子供がいる夫婦間でトラブルが起きたり、特にトラブルが生じたわけではなくとも離婚を考えていたりする際、どちらかが、相手に無断で子供を連れ去った上で別居するというもの。無論、どちらかの親からの暴力や虐待から子供を守るためというケースもあるが、その場合であっても、法的な保護手続によらなければならないにもかかわらず(当然のことながら、一方的な主張で決まるわけではなく、相手方にも反論の機会が与えられる必要がある)、一方的に子供を連れ去ることで解決しようとするケースが多い。既成事実化された事実状態を追認するだけの判断を行う傾向が非常に強い裁判実務を悪用し、離婚裁判を有利に進めるために行われる場合も少なくないという。子供を連れ去られ、子供との関係を断絶され、それが既成事実化されてしまい、実の子に会う機会を奪われたもう一方の親は、我が子会いたさに、どれだけ理不尽であったとしても、相手の要求を飲まざるを得なくなってしまうというケースが後を絶たない。

公立の学校に

 いわば“駆け引き”の材料として片方の親に引き取られた子供たちの中には、あろうことか、満足に教育を受けさせてもらえないという事態となっていたり、満足に食事も取れない状態(いわゆる「子供の貧困」と呼ばれる状態だ)に陥っていたりするなどの問題も起きている。3年前のある日、母親と共に姿を消した真央ちゃん(仮名)もその一人。真央ちゃんの誕生から側で見守り続け、育児にも積極的に協力してきた父方の祖父が、その状況を語る――(議論沸騰【共同親権問題】“私の初孫はある日突然姿を消した”も合わせてお読みください)。

※この記事は取材を元に構成しておりますが、個人のプライバシーに配慮し、一部内容を変更しております。あらかじめご了承ください。

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 私の初孫の真央ちゃんは、いわゆるお受験を経て、都内にある私立の小学校に通っていたのですが、小学1年生の秋に息子の妻である綾子さん(仮名)に連れ去られて以降、通学していないことがわかりました。学校から私の息子に問い合わせがあり、それが発覚したのです。さらに、弁護士を通じて、相手方に確認を取ったところ、「公立の小学校に転校した」という驚きの答えが返ってきました。

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