高校時代の元カノが親友と結婚 ところが、その後のあり得ない展開に日々悩む50歳夫の本心

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「将太と朋美より先に結婚してしまおう」

 28歳になるころだった。彼は自分でも「将太と朋美より先に結婚してしまおう」という気持ちが生じたと認めている。しかもふたりが知っている茉希さんと。だが、和宣さんは高校を卒業してからの茉希さんが何をしていたのか、よく知らないままだった。

「聞いてもあまりはっきりした答えが返ってこなかった。おそらく夜の商売だったんだと思います。東京でデートするようになったころはアクセサリーを作る勉強をしていると言っていましたが、なんだかはっきりはしませんでしたね。ただ、当時も本当にきれいだったし、荒んだ感じはなかった」

 結婚しようと言ったら、茉希さんは「私でいいの?」と泣き出した。そんな茉希さんがいとおしかった。これで将太さんと朋美さんのことも吹っ切れると思った。だが、茉希さんは「地元に戻りたくない。結婚式もしなくていい」と言う。そういえば茉希さんの家庭は両親が離婚、高校時代に母が再婚したんだっけと和宣さんは当時を思い出した。

「うちの両親に出てきてもらって、東京で働いている姉と一緒にみんなで食事をして。母は茉希のことを覚えていたようです。あとから『あのうち、結局、また離婚したのよ。再婚した男がろくでなしで、茉希ちゃんのお母さん、苦労したみたいよ』と耳打ちしてくれました。でも茉希は、僕の両親に『よろしくお願いします。和宣さんを大事にします』と丁寧にお辞儀をしてくれたので、両親は喜んでいましたね」

 ふたりが結婚したことは、自然と将太さんと朋美さんの耳にも入ったようだ。将太さんからお祝いが届き「水くさいじゃないか」という手紙も入っていた。将太さんに連絡をとった和宣さんは、「ばったり再会して思いがけなくこういうことになったんだけど、なんだか照れくさくて」と言い訳をした。

「僕らの結婚式にはふたりで来てと言われたんですが、ちょうど茉希が妊娠して不安定な時期だったので僕も遠慮したんです」

 そこから月日は流れ、和宣さんと将太さんは、年に1度ほど、互いが仕事で出張したおりに会う程度になった。和宣さんにはふたりの子が、将太さんにも子どもがひとりできた。

後編【元カノから妻の“知られざる過去”を聞かされ、何かが変わった…そして、50歳夫が思ってしまったこと】へつづく

亀山早苗(かめやま・さなえ)
フリーライター。男女関係、特に不倫について20年以上取材を続け、『不倫の恋で苦しむ男たち』『夫の不倫で苦しむ妻たち』『人はなぜ不倫をするのか』『復讐手帖─愛が狂気に変わるとき─』など著書多数。

デイリー新潮編集部

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