必要な総額は8兆円? 財源論は先送りに… 「異次元の少子化対策」は国家的詐欺か

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“スタンドプレーが過ぎる”

 政治ジャーナリストの青山和弘氏の解説。

「今回の提言が党の政務調査会を通していないことで、萩生田さんは周囲に不満を口にしています。党の政策は政調を通して総理に上げるという原則がありますが、それを無視した形です」

 かような事態を象徴するシーンがあった。28日、公明党の高木陽介政調会長は官邸を訪れ、少子化に関する公明党の提言を直接総理に手渡した。かたや自民党の提言はその翌日、総理ではなく、小倉將信(まさのぶ)こども政策担当相に託されている。自民党の提言は総理にすら渡せなかったのだ。

「小倉大臣に答申するという形をとることで“政調飛ばし”の問題をクリアしましたが、茂木さんが政調を通さないのは、この政策を自分が主導したいという思いの表れでしょう。茂木さんは少子化対策を自身が総理になった時の目玉政策にしたいと、これまで温めてきたんです。また、昨年の旧統一教会被害者救済法案の時も同様に政調を挟まず、子飼いの議員に進めさせて、自分で抱え込んだことがありました。自民党幹部からも“スタンドプレーが過ぎる”という声が出ています」(同)

激怒する党幹部

 茂木氏の私利私欲の末にまとめられた自民党の提言。官邸内でもすこぶる評判が悪い。

「さる現職大臣は“提言といえるのかね。ただのメモ書きでしょ”と一刀両断していました。財源論を先送りにして、統一地方選を前に国民ウケしそうな政策を言いたい放題で並べているだけですからね」(先の官邸関係者)

 ラーメンに例えれば、政策という名の具材が「全部盛り」(同)になっている状態。元厚労官僚で「こども家庭庁」の初代長官、渡辺由美子氏は、自民党の提言を見て、

「あれは何なの」

 と、“あれ”呼ばわりして周囲に吐き捨てていたという。

 独断専行の茂木氏には党幹部もおかんむりだ。その筆頭が森山裕選対委員長。

「森山さんは最近、茂木さんに激怒しているようです」

 と自民党関係者がささやく。

「児童手当の所得制限撤廃には森山さんもかねて反対の立場。にもかかわらず何の相談もなしにどんどん進めていく上、公明党との関係でももめているんです」

 公明党とは小選挙区の10増10減にともなう衆院選の区割り変更でどの選挙区に公明党の候補を立てるか、調整が続いている。

「茂木さんは創価学会の佐藤浩副会長と候補者調整のやり取りをしていました。が、佐藤副会長サイドはこの協議の中で学会の要望を聞き入れない森山さんを“外せ”と茂木さんに打診したのです。結果、森山さんは協議から事実上締め出され、茂木さんに対する不信感を募らせています」(同)

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