不倫夫を恐怖に陥れた元妻からの「19年越しの復讐」 そしてようやく気づいた自らのあやまち

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紗都子さんが語った“真相”

 雅貴さんは納得できなかった。鞠絵さんにときどき会って、紗都子さんの様子をうかがい、会えそうな場所を特定した。そして今年に入ってすぐ、紗都子さんに会うことができた。

「やはり鞠絵は嘘をついていました。紗都子は変わってなかった。最初は紗都子も僕が何か企んでいるのではないかと勘ぐったようですが、とにかく鞠絵のことを話し合いたいと言ったら落ち着いてくれました」

 紗都子さんが杏子さんの夫と関係を持ったのは事実だった。だがそれは離婚してからのこと。そして1回だけのことだった。その数日後、妊娠が判明した。離婚後、雅貴さんと関係をもった日と合っていた。それでも杏子さんに「あなたの夫の子だ」と言ったのは、かつて杏子さんに嫌がらせをされた腹いせだった。紗都子さんと杏子さんは知り合いだったのだ。

そして得た「気づき」

「紗都子は離婚後、懸命に働いたそうです。紗都子の母親が鞠絵に悪口を吹き込んだのは、結婚生活をまっとうしなかった娘が腹立たしかったから。鞠絵は父親に捨てられたと思っていたから、祖母の言い分が間違っているのを知りながら僕に告げた。すべてがクリアになって体中の力が抜けました。結局、僕は女たちの復讐劇に巻き込まれただけだった。紗都子が言うには、娘の学費くらい自分が出せると。200万振り込んだと言ったら、『鞠絵にやられたわね』って。まあ、そのくらいしてもいいんじゃないのと紗都子に言われました。紗都子は僕と一緒にいるときよりずっと生き生きしていた。20年近くたっていても、きれいだった」

 そして彼は気づいた。やはり自分は紗都子さんが好きなのだ、と。だが、雅貴さんから離れたからこそ、紗都子さんは生き生きとしていたのではないだろうか。好きだから自由にさせないという間違った考えが、今の結果を引き起こしたのではないか。

 結婚はある種の「賭け」だとよく言われる。個人として好きでも、夫婦としていい関係が築けるかどうかは別の話だと。だが、夫婦としての力関係を競おうとするから不協和音が生じるような気がしてならない。彼が最初から、個人としての紗都子さんを尊重していれば、こんなことになっただろうか。

「これからは鞠絵を通じて、少しずつ紗都子との距離を詰めていきたい」と話す雅貴さんに、紗都子さんの意志を尊重しつつと思わず釘を刺さざるを得なかった。

前編【5歳年下の妻から浮気を追求され逆ギレ、離婚された47歳男性の告白 「元妻がしたことには納得がいかない」】からのつづき

亀山早苗(かめやま・さなえ)
フリーライター。男女関係、特に不倫について20年以上取材を続け、『不倫の恋で苦しむ男たち』『夫の不倫で苦しむ妻たち』『人はなぜ不倫をするのか』『復讐手帖─愛が狂気に変わるとき─』など著書多数。

デイリー新潮編集部

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