5歳年下の妻から浮気を追求され逆ギレ、離婚された47歳男性の告白 「元妻がしたことには納得がいかない」

  • ブックマーク

Advertisement

 ひどいことをされたからといって、ひどいことを仕返ししたら 同じ穴の狢。とはいえ、「この恨み晴らさでおくべきか」という事態は起こりうる。そこで役に立つのが法なのだろうが、男と女の関係に「法」が入り込む余地がない状況もある。

 一方、最初にひどいことをした側は、いつしかそれを記憶の彼方に追いやってしまう。誰かの人生をずたずたに傷つけたとしても、そこに思いを馳せることはないだろう。そうなると想像がつけば別の手段をとっていたはずである。

「ええ。最初にひどいことをしたのは僕なんだ。それはわかっています。だけど僕がしたことは、元妻がしたことよりひどいことなのか……。そこがどうしても納得いかないんですよ」

 日向雅貴さん(47歳・仮名=以下同)は、少し怒りを含んだような口調でそう言った。昔の知り合いで「話したいことがある」と連絡をもらった。もともと親しいといえるほどの間柄でもないから、かえって話しやすいのかもしれない。そう思って出かけていくと、のっけから愚痴っぽく話し始めた。

 そういえば、かなり早くに結婚し、数年後には離婚したと聞いていたが、離婚の理由も詳しくは知らなかった。

「うちの両親は共働きで、僕はひとりっ子だったんです。そこそこ裕福な家庭だったんじゃないかと今になると思うけど、両親は仮面夫婦だった。子どもながらにわかっていましたよ。僕は父の彼女に会ったこともあるし、母の彼氏に会ったこともある。ふたりとも子どもを隠れ蓑に使ってた。僕はふたりの秘密を守りながら、適当にお小遣いをもらってた。ろくな大人になるわけないっすよね」

 最後はフッと唇を歪めて笑った。両親はどうして離婚しないのだろう。母に聞いてみたことがある。

「そうしたら母がつぶやいたんです。『離婚する理由がないわよ』と。だってお母さんはお父さん以外の男の人と会ってるじゃないかと言ったら、『それとこれとは別なの』と笑っていました。どちらかというと、母のほうがあっけらかんと恋愛していたような気がしますね」

 60代になっても外ばかり向いていた両親だが、70歳を越えた今は、不思議と寄り添いながら生きているのだという。

「先日も久しぶりに実家に帰ってみたら、父がせっせと手打ちうどんを作っていた。母は昼間からビールを飲みながらネットで麻雀をやってましたよ(笑)。それでいてうどんができると、母はどんぶりと箸をセットして。きちんと出汁をとってつゆを作り、薬味も用意したのは父ですが。どういう力関係になっているのかわからなかったけど、まあ、仲良くやっているみたい。あんなに互いに無関心だったのに、夫婦という括りさえあれば、高齢になってから寄り添うことができるんでしょうかねえ 」

 夫婦にしかわからないことがあるのだろう。はたからは決してうかがい知ることのできない何かがふたりを結びつけているのかもしれない。

一目惚れして猛アプローチ

 そうやって育った雅貴さんだったが、なぜか結婚には絶望していなかった。むしろ若くして結婚し、両親ができなかった愛情たっぷりの家庭を作りたい、子どもをどこまでも愛して育てていきたい。そう願っていた。

 その願いが叶う女性を見つけたのが、大学を卒業して社会人になってすぐだった。相手は、雅貴さんが入社した会社と取引のある企業で働いていた5歳年上の紗都子さんだ。先輩に連れられてその会社に行ったときに一目惚れした。その後も雅貴さんの先輩に対しきっちり意見を言う彼女にどんどん魅せられていった。1年たって雅貴さんがひとりでその会社に赴いて仕事を一緒にするようになったとき、もう我慢できないと告白した。

「最初は、仕事の関係だからプライベートを持ち込むのはやめましょうと、にこやかに言われたんです。断られたってことです。でも僕はめげなかった。出会いは仕事だけど、それ以上の気持ちをもってしまった。とにかく一度、勤務時間外に会ってほしいと訴え続けました」

 紗都子さんも根負けしたのだろう。一度だけ会うと言ってくれた。会って食事でもと言うと、「私は婚約者がいるの。だからもう私情ははさまないで。仕事だけしましょう」と諭された。

「本当にその人と結婚していいんですか、後悔しないんですかと詰め寄ったんです。あとから紗都子が言うには、確かにあのとき結婚を迷っていた、と。だから僕の言葉が心に刺さったんだそうです」

次ページ:最後にさらけ出した「年下のわがまま」

前へ 1 2 3 次へ

[1/3ページ]

メールアドレス

利用規約を必ず確認の上、登録ボタンを押してください。