【独占】「ゴーンヌおじさん」近藤祐司さん、ファイターズ実況卒業の理由と今後の野望  今季はマリーンズに“移籍”

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「ゴーンヌ」誕生秘話

 近藤さんはもともとアメリカンフットボールで日本代表にもなったアスリートだ。引退後、GAORAでNFLの解説者として第二のキャリアをスタートし、その後NFLの実況に転身し、メジャーリーグの実況も務めた。日本では珍しい、アナウンサー経歴のない実況者だ。

 そんな近藤さんを一躍有名にしたのが、さきほど紹介した「イッツゴーンヌ」など独特のフレーズだった。パリーグが運営するYouTubeチャンネル「パ・リーグTV」では、近藤さんの実況だけを集めた「怒濤の『ゴーンヌ18連発』」などが何度も取り上げられ、そのフレーズは近藤さんの代名詞となっている。

 英語が堪能な近藤さんは当初、現地メジャーリーグの実況を同時通訳して実況を学んだ。するとメジャーの各実況アナがホームランや三振を奪った際に、オリジナルのフレーズを使っているとわかってきた。

「それでオリジナルのフレーズを作った方がいいという発想になったんです。僕の場合は、中学3年生までに基本的に学べる英単語を3語以内で作ろうと思った。そこで生まれたのが『イッツゴーンヌ(It is gone)』や『ワンツースリー』だったんです」

 そんな近藤さんに、2015年、GAORAで放送するファイターズの中継の実況の話が舞い込んでくる。近藤さんは、メジャーリーグ中継で使っていたフレーズをファイターズの試合にも 持ち込んだが、当初「ここは日本だから日本語でやれよ」「お前が目立ちたいだけだろ」と年配の野球ファンから苦情が来た。

 そんな中、「それ、おもろいやんか」と後押ししてくれたのが、後に名コンビとなるファイターズOBで解説者の岩本勉さんだった。近藤さんも諦めずに「ゴーンヌ」と続けることにした。翌2016年には当時、ファイターズにいた大谷翔平選手がシーズンで22本の本塁打を放つ。その中継動画がSNSなどで切り抜きされ拡散したことで、近藤さんの「ゴーンヌ」も浸透していった。

「大谷選手の恩恵に与かった形ですね。うちの長男は準硬式野球をやっていたんだけど、チームでは『ゴーンヌした』と普通に使ってました。稲田直人さんの息子もゲームでホームランをしたときに『ゴーンヌした』と言ってるそうで、若い人には普通に使ってもらうようになりました」

今後はどこで「ゴーンヌ」を聞けるのか

 ファイターズの実況を卒業すると最初に連絡したのも、恩人の岩本さんだった。

「まずは、やっぱり岩本さん。岩本さんあっての近藤祐司だと思うし、『ワンツースリー』とかホームランの『ゴーンヌ』というフレーズにしても、岩本さんがうまく訳して視聴者に伝えてくれたからここまで浸透した。本当に感謝しています。卒業を連絡すると岩本さんも本当に悲しんでくれて『お互い、いつどうやってこうなるかわからないから引き続き頑張ろう』と言ってくれました」

 今シーズンはファイターズの中継で近藤さんの声を聞くことはできないが、プロ野球中継から完全に離れるわけではない。今シーズンはBSトゥエルビでの千葉ロッテマリーンズの実況を数試合務める予定だ。

「だから今度はロッテの選手のホームランを『ゴーンヌ』、ファイターズの選手のホームランを『グッバイ』と言わなければいけないね(笑)。また新しいフレーズを考えるのもいいですね。今回、残念ながら8年でファイターズの実況は終わっちゃいましたけど、今は“ノンテンダー”、フリーですから、またプロ野球の実況をやらせてくれるところが見つかればいいなと思っています」

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