なぜ中居正広は「老害」と呼ばれない? “ヤンキー”という個性を守り続けたバランス感覚

エンタメ 芸能

  • ブックマーク

Advertisement

 松本人志さんがフジテレビ系「ワイドナショー」を卒業した。9年半にわたって、発言が良くも悪くも注目されてしまうことにストレスを抱えていたという。そのため「卒業」といってもどこか後味の悪さが残る。別の番組では「早ければもう2年、遅くてもあと5年」と引退を示唆したこともあり、ファンの間では不安の声も広がっているが、4月からは盟友である中居正広さんと「まつもtoなかい」に臨むことが発表された。二人が会わせてみたいと思うゲスト2名をマッチングして、仲人として対談を見守るという趣向のトーク番組だ。

 そもそもコメンテーターとして世相を斬るという役割は、今の松ちゃんには難しかったのではないだろうか。それは彼が望んでいなかったにしても、お笑い界や芸能界で大御所という立ち位置になってしまったからだ。生意気な若手として突き上げる立場から、社会的影響力を持つ大人の側へ。権力者の毒舌やシニカルさは、時として傲慢に映ったり若者を萎縮させたりすることもある。かつては松ちゃんだから許されていたきわどいジョークも、言葉尻だけ捉えられて「時代遅れ」「老害」と言われるような攻撃性ばかりが際立ってしまう。

 こうした傾向は、少し前から起きていた。毒舌タレントがMCを務める番組の相次ぐ終了だ。ビートたけしさんの「新・情報7daysニュースキャスター」や坂上忍さんの「バイキング」は、ご本人から降板の申し入れがあったとされる。立川志らくさんの「グッとラック!」にマツコ・デラックスさんの「アウト・デラックス」、有吉弘行さんの「有吉反省会」も終了。彼らもアウトローの立場から放つ意見が面白がられていたのに、いつの間にかご意見番というど真ん中の席に座らせられていた。お行儀の良いことを言えば「らしくない」と残念がられ、キャラ通りに辛辣な意見を言えば「なってない」と批判される。視聴率が落ちればMCのせい。両手両足を縛られて軽やかに踊れと言われるような、無茶振りに等しい。

 どうせ腹を切らされるのなら、心中相手くらいは好きに選びたい。物騒な例えではあるが、松ちゃんもワイドナ卒業後に中居さんと次の番組に挑むというのは、それくらいの覚悟があってのことではないだろうか。

次ページ:ヤンキーというアウトローさを守り続けた中居のすごさ 「老害」と呼ばれないMCのあり方

前へ 1 2 3 次へ

[1/3ページ]

メールアドレス

利用規約を必ず確認の上、登録ボタンを押してください。