なぜ中居正広は「老害」と呼ばれない? “ヤンキー”という個性を守り続けたバランス感覚

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ヤンキーというアウトローさを守り続けた中居のすごさ 「老害」と呼ばれないMCのあり方

 ドラマ「伝説の教師」での共演以来、松ちゃんと親交が深いことで知られる中居さんだが、彼もまたアウトローの立場を守り続けた珍しい人ではないか。木村拓哉さんがアイドルとしてギリギリのアウトローさを追求していたのに対し、中居さんはジャニーズより神奈川のヤンキーであることにアイデンティティーを置いていたようにすら見える。

 SMAPという国民的アイドルグループのリーダーでありながら、歌が下手でもなんのその、喫煙者ということも隠さない。若かりし頃のやんちゃエピソードをうれしそうに語り、「センコー」「~だべ」といったダサいヤンキー語も使う。人との交流もファンサービスも苦手とあって、「性格が悪い」とうわさが立ったこともあった。でもそれは多くの大御所と番組を仕切る時でも、こびや前のめりさが見えないフラットな司会ぶりにつながっていた。自分より年少の共演者がいても、あえて幼稚な物言いやはしゃいだ姿を崩さず、僕は世間知らずで不作法なおバカさんなんです、という姿勢を貫き続けるかたくなさ。松ちゃんよりももっと早くから、芸能界との距離の置き方を考えていたのかもと思わせる。昨年の病気療養についてさえ、多くを語らなかった人だ。

 中居さんの発言も少々前時代的なところもあるが、他に比べて「老害」と言われる頻度は少ない。それは自分の権力に自覚的だからではないだろうか。時代遅れのヤンキー上がりゆえの野放図な物言いを、突っ込んでくれる相手がいる場所を選び続けている。しかも事務所の後輩ではなく、芸人や女性といった、完全に自分がアウェイとなるメンツの中というのも重要なポイントだ。

 ニュースを扱うという場面では「中居正広のキャスターな会」があるが、松ちゃんと違って彼の「失言」がネットニュースを騒がせることはほぼなかった。ズレたことを言っても、またかと良識的な共演者が突っ込む構図ができているから、お約束の流れとして許容される。コンプライアンスがうるさくなったというか、取れる揚げ足を待ち構える風潮が強まった分、「ここからここまでは冗談ですよ」と明確に言わざるを得なくなっている時代。自らを下げて和やかに炎上を防ぐやり方は、実にスマートではないだろうか。

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