【放送法問題】安倍元首相がTBS「サンデーモーニング」より問題視していたNHKの“偏向番組”とは

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「JAPANデビュー」

 文書の信憑性が議論されているとはいえ、多くの人が「非常にリアル」という印象を持ったはずだ。安倍氏の“テレビ観”が浮き彫りになっており、国会で激しい論戦が繰り広げられているのも当然だろう。

 ちなみに、「モーニングバード(現「羽鳥慎一モーニングショー」)」(テレビ朝日系列・平日・8:00)に関する安倍氏の発言も文書には記録されている。報道各社の報道では、この3つの番組に触れたものが多い。

 その一方で、安倍氏が本当に問題視していたのは「JAPANデビュー」だったという記事は──朝日新聞など少数の新聞社を除けば──見受けられていない。担当記者が言う。

「『JAPANデビュー』は2009年4月から6月まで、『NHKスペシャル』(総合・日曜・21:00)の4回シリーズとして放送されました。開国に踏み切った日本が欧米列強にキャッチアップするためどのような歴史を歩んできたか、『アジア』、『天皇と憲法』、『貿易』、『軍事』という大テーマを据えて放送しました」

 放送当時の首相は麻生太郎氏(82)だった。安倍氏は「今、問題視するのは、さすがに古すぎる」という判断を下し、代わりに「サンデーモーニング」に焦点を当てたと考えられる。

「超偏向番組」

 安倍政権がテレビ局に強い“圧力”をかけようとしていたことが“放送法文書”から読み取れる──こう解説する専門家や識者は多い。

 その指摘は頷けるところも多いが、だからと言ってNHKの「JAPANデビュー」が“偏向番組ではない”ということにはならない。

 いや、はっきり言えば、偏向していたのだ。安倍氏が問題視したのも「JAPANデビュー」に限って言えば頷ける。

 特に日本統治下の台湾を取り上げた第1回の「アジアの“一等国”」は、その内容を専門家が疑問視しただけなく、取材に協力した出演者からも強い異論が表明された。

 週刊新潮は2009年4月23日号に「歴史歪曲と『台湾人』も激怒したNHK『超偏向』番組」との特集記事を掲載した。

 安倍氏の“テレビ観”が形作られた原点として、特集記事の全文を掲載する。文中の肩書や固有名詞は掲載時のままとした。まずはリードからだ。

【リード】
 性懲りもなく、というべきか。史実を枉げ、日本の台湾統治を徹底的に貶めたNHKドキュメンタリーの「超偏向」ぶりに抗議が殺到している。日本の視聴者ばかりか出演した台湾人も激怒するこの番組、中国、台湾との外交関係にも影を落としそうなのだ。

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