「愛媛農業アイドル自殺訴訟」遺族側弁護士に賠償命令 負けると沈黙する「タレント弁護士」と丸乗りした「ワイドショー」の責任

国内 社会

  • ブックマーク

Advertisement

ミヤネ屋への疑問

 テレビ局もほとんど取り上げなかった。今回の判決を報じたのはTBSと系列局だけである。とりわけ渥美弁護士が問題視しているのが、「情報ライブ ミヤネ屋」(読売テレビ)である。ミヤネ屋では、提訴会見があった18年10月11日、翌12日、東京地裁で第一回口頭弁論が開かれた19年2月18日、と3回、30分から1時間に及ぶ特集でこの問題を取り上げている。特に初回は、遺族側の主張を垂れ流すばかりの偏った報道であった。だが、一連の訴訟の判決は一切報じていない。

 なぜ、ミヤネ屋は結末を報じないのか。佐々木氏はその思いをぶつけるべく、1月23日付で、読売テレビに謝罪と説明を求める申し入れをしている。回答期限は3月24日とのことだが、対応次第によってはBPO案件になる可能性もあり、番組の良識が問われている。

 4年半の戦いで佐々木氏が失ったものは甚大であった。テレビの影響力は凄まじく、事務所には全国から批判の電話が殺到。SNSでは「パワハラ社長」「人殺し」というワードと共に佐々木氏の顔写真が拡散されていった。「毎日、死を考えた」と振り返るほどの絶望の日々だったという。

報道被害を受けた佐々木社長の思い

 取引先は激減し、10人いた従業員は2人まで減った。自殺した少女が所属していた農業アイドル「愛の葉Girls」も解散に追い込まれてしまった。

 昨年12月に続く今回の勝訴を受け、佐々木氏の顔にようやく笑顔が戻った。だが、佐々木氏は勝訴したからといって、遺族を攻撃することもなく、謙虚な姿勢を貫いている。メディアに対しても、理解を示したうえでこう訴えている。

「私は報道の世界については素人ですが、それぞれの会社に事情があるのはわかります。でも、私は報道に携わる一人ひとりの良心を信じたいのです」

デイリー新潮編集部

前へ 1 2 3 4 5 次へ

[5/5ページ]

メールアドレス

利用規約を必ず確認の上、登録ボタンを押してください。