ガーシー議員が電撃帰国へ 「逮捕逃れ」のためのウルトラCと「逃げ切り阻止」をはかる当局との頭脳戦

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パスポートが失効すると

 容疑者が海外にいたとしても逮捕状の請求は可能である。

 そして、ガーシー議員への容疑は、暴力行為等処罰法の常習的脅迫や刑法の名誉毀損なので、いずれも法定刑は長期2年を超える(常習的脅迫は3ヶ月以上5年以下の懲役、名誉毀損は3年以下の懲役若しくは禁錮又は50万円以下の罰金)。つまり、旅券返納命令制度の対象となるのだ。

 では、ガーシー議員のパスポートが失効するとどうなるのか。

「不法滞在になる可能性が高いと思われます。UAE(アラブ首長国連邦)の入国許可(Entry Visas)と在留許可証(Residency Permits)は有効なパスポートを所持していることが前提ですが、パスポートが失効した場合は、そうした滞在許可が無効になるからです。その点がレバノン国籍を持っているゴーンとは異なります。

 UAEでの不法滞在は一般的に、身柄を拘束されて勾留等の刑事処分を受けた上で国外追放処分となります。ガーシー議員の場合は、現職の国会議員であることが考慮されれば、単に強制退去処分を受けるだけかもしれませんが」(同)

 となると、ガーシー議員はどうなるのか。「政治的迫害を受けた難民」として新天地を探す旅に出るとでもいうのか。

外相・法相とインターポール総裁

「日本政府としては、ガーシー議員が例えばトルコ等の『第3国』に移動して、そこから政府批判や要人批判をネット上で繰り広げると、“カルロス・ゴーンの悪夢”の二の舞になってしまいます。ドバイから何としてでも日本に身柄を移送させたいのです。

 ドバイといえば、各国から逃亡・避難した富裕層の拠点として治外法権が認められるような『聖域』になっているというイメージがあるかもしれません。しかし、それは誤りです。むしろ、ガーシー議員からしたら『よりによって』と言うかもしれませんが、林芳正外務大臣は1年前にUAEのアブダッラー外相と会談を行い、両国の戦略的連携関係の強化を打ち出したばかり。また昨年11月に法務大臣に就任した齋藤健氏は日本UAE議連の幹部で、UAEと太いパイプを持っています。

 その上、インターポール(国際刑事警察機構)の総裁は2021年からUAE内務省のアフメド・ナセル・ライシ少将が務めています。公式・非公式の外交ルートを通じて、UAE政府に『しかるべき対応』を要請するとともに、インターポールの国際手配書(赤紙)を発行して身柄拘束してもらうといった措置も、比較的容易にできる環境が整っています。本人や周りの人間がどれだけ気がついているか分かりませんが、実はガーシー議員は、彼にとっては『悪夢』と言えるような国際情勢の中にいるのです」(同)

 在宅起訴の可能性もあるとはいえ、拘束=逮捕に向けて外堀が埋まりつつあった中での電撃的な「陳謝表明」。いずれにせよ、今後の動きが注目される。

デイリー新潮編集部

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