ガーシー議員が電撃帰国へ 「逮捕逃れ」のためのウルトラCと「逃げ切り阻止」をはかる当局との頭脳戦

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躊躇なく逮捕状を請求していた

 思ったよりも逮捕許諾請求は「難題」ということだ。とすると、ガーシー議員が帰国しなかった場合、通常国会が閉会するまでは、不逮捕特権の恩恵を享受して逮捕されなかったということなのか。

 永田町に精通する政治ジャーナリストはこう解説する。

「ガーシー議員は通常国会が始まった1月に帰国して国政審議に参加していれば良かったのですが、帰国を拒否しただけでなく、挑発的な言動を繰り広げました。そのため与野党国対幹部の怒りを買い、議員懲罰の対象となってしまったのです。

 このまま帰国しなかった場合は、間違いなく『除名』処分を科されて、国会から追放されていました。そうすると、議員の身分は剥奪され『一人の私人』となる訳ですから、警察当局は躊躇なく逮捕状を請求していたと言われています」

 道理で、ガーシー議員は帰国の意向を表明したのか。

「ガーシー議員が帰国して陳謝に応じた場合は、懲戒処分はそれで完了し、除名処分は免れることになります。とはいえ、6月21日に予定されている国会閉会日を過ぎると不逮捕特権は保障されなくなるので、河井夫妻のように閉会直後に逮捕状が請求され、通常執行される可能性はゼロではありません。

 警察当局は、暴力行為等処罰法の常習的脅迫等でガーシー議員を逮捕することに意欲的のようです。芸能界の暴露にとどまらず、政財界のVIP批判を繰り広げるガーシー議員は目の上のたんこぶになっています。また検察と違って、警察がバッジ(国会議員)を摘発できる局面はあまりないので、手ぐすねを引いて機会を待っている状態だと言えます」(同)

逮捕を逃れるウルトラC

 では、国会閉会後のガーシー議員「電撃逮捕」はありうるということか。しかし、これを逃れるウルトラCもあるのだという。

「永田町では、ガーシー議員は帰国して陳謝に応じた上で、時間を稼ぎ、頃合いを見て再度ドバイに戻ってしまうのではないかという噂が流れています。欠席を理由とする再度の懲戒処分に掛ける時間的余裕がないタイミング、つまり国会最終盤になったらということです」(同)

 つまり、3月に帰国して形ばかりの「謝罪」をすることで議員としての身分を保持したうえで、国会終了間際に再度海外に、というシナリオである。カルロス・ゴーンではないが、海外に逃亡してしまえばよいと踏んでいるということだろうか。

「そこで焦点となるのが『旅券返納命令』という制度です。これは、2015年にシリアに渡航しようとしたジャーナリストに対して出されて物議を醸したものですが、旅券法19条に基づいて、例えば長期2年以上の犯罪について逮捕状が発布された場合等に『パスポートの返却』を外務大臣が命じるものです。

 旅券返納命令が通知され、または官報に記載されて20日間が経過しても返納されない場合、その旅券は自動的に『失効』となります。返納しない者に『5年以下の懲役若しくは300万円以下の罰金』が科せられるだけでなく、失効旅券の情報は、各国政府の入国管理データーベースで共有されるのです」(同)

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