「数式を普通の文章のように読む」 日銀新総裁・植田和男氏の天才エピソード、教え子が“酒豪ぶり”も証言

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銀座や六本木のクラブに頻繁に繰り出し…

 審議委員時代には、“醜聞”が書かれたことも。

 00年に週刊ポストは、植田氏が日銀の公用車で六本木のクラブのホステスと同伴し、クラブをはしごして連夜、豪遊していたと報じている。

「夜のお店は昔から好きみたいで、銀座や六本木のクラブに頻繁に通っていたと聞きます。飲み仲間に野村総研のエコノミストだった政治経済学者の植草一秀さんもいたそうです。04年に女子高生のスカートの中を手鏡でのぞこうとして現行犯逮捕され、“ミラーマン”として騒動になった植草さんです。植田さんとは大蔵省の財政金融研究所で机を並べていた関係でした」(植田氏の知人)

 当の植田氏に都内の自宅前で話を聞いた。

――よく銀座や六本木のクラブで飲まれていた。

「当時の知り合いの方に連れて行ってもらった感じだと思います。支払いは割り勘の時もありましたし、私が払った時もありました」

――植草さんとそういったお店に行かれていた。

「はいはい、植草くん。40年前とかですよ。クラブではなく、居酒屋に行っていましたね」

――かつて株の空売りをしていたこともあった。

「空売りはあまりしていませんが、株の売買をしたことはあります。学者だったので、単に空理空論ではなく実践した経験も必要かなと思って始めたんです」

 と、朴訥(ぼくとつ)と語る。一方の植草氏は大要こう回答した。

「週刊ポストの記事の件については当方では事情を承知しておりません。植田先生とは食事をごちそうになり、その後に、お酒を飲める場で懇談させていただいたことが1度あります。そのお礼にお誘いし、やはりお酒を飲める場で懇談をさせていただき、これと別に、新宿のバーのようなところで、亡くなられた西部邁先生とご一緒に懇談させていただきました。プライベートな接触はこの3回だけだと思います」

 ともあれ、この植田氏に日本経済の行く末が託されることになる。

先進国から脱落してしまう

 安倍政権時代に内閣官房参与としてアベノミクスを推し進めた元大蔵官僚の本田悦朗氏が、

「植田さんの名前を聞いた時はビックリしましたけど、他の先進国では中央銀行のトップに高度な専門知識を持った人物が就くのは当たり前です」

 と、植田氏の印象を語る。

「参与だった当時、消費税を8%に上げる前に、非公開で専門家による点検会合を行ったことがありました。植田さんにも来ていただき、アベノミクス推進側に好意的な発言をされ、“仲間がいた、うれしいなあ”と感じたのを覚えています」

 一方で、今後の展開は注視しているという。

「経済の正常化、つまり物価上昇率が安定的に2%に近づいた時は、長期金利をぐっと抑え込んでいるYCC(イールドカーブコントロール)と呼ばれる黒田さんが進めていた政策を外すことになります。YCCを外して初めてアベノミクスは成功といえる。しかし、外すのが早すぎると経済の腰折れを招きますし、逆に外せないと日本はおしまいです。経済が衰退し、先進国から脱落してしまうでしょう」(同)

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