「うごかす、とめる。」技術を進化させる仕組みを作る――木村和正(ナブテスコ社長)【佐藤優の頂上対決】

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会社のDNA

佐藤 ニッチな分野でトップを取っていくのは、社の方針なのですか。

木村 これはもともとこの会社にあったDNAだと思います。市場が狭い中、技術オリエンテッド(志向)でやってきましたから、技術的な優劣がつきやすいということはあります。また統合前まではそれぞれ売上規模が700億~800億円の会社で、あまり大きく市場を広げられなかった。それが合併で経営基盤が強くなり、成長できた面もあるかもしれません。

佐藤 統合にはどんな経緯があったのでしょうか。

木村 きっかけは油圧機器事業です。ナブコは先ほど申し上げた通り、鉄道車両用エアブレーキで創業し、戦後、油圧機器の製造・販売を始めました。一方の帝人製機は、1944年の設立で、当初は帝人航空工業という名前でした。戦後、繊維機械や航空機器の製造・販売に進出し、油圧機器は1961年にスタートしています。そして帝人製機は比較的中小の油圧機器を作り、ナブコは大きな油圧機器を作っていたんです。

佐藤 それらを合わせて、油圧機器の大きな会社を作った。

木村 はい。当時、この分野はなかなか収益を上げるのが難しく、お互い厳しい状態でした。そこで両社がその事業だけ提携して一緒にやろうとしていたところ、話が盛り上がって、合併に至ったと聞いています。

佐藤 さまざまな事業は、それぞれの会社を合わせた結果なのですね。

木村 トランスポート関係は主にナブコで、減速機や包装機は帝人製機になりますね。

佐藤 四つのセグメントは、どんな割合になっているのですか。

木村 どのセグメントも同じくらいにしたいのですが、いまは精密減速機の需要が高く、コンポーネントの売り上げが1千億円超えしています。一方、トランスポートや自動ドアのアクセシビリティが700億円前後、包装機のマニュファクチャリングは200億円弱です。

佐藤 海外比率はどのくらいですか。

木村 海外売上比率は約46%です。中国の比率が高く、全体の約30%になります。

佐藤 それはある意味、必然でしょうね。

木村 この10年を見れば、経済成長率が違いますからね。今後は東南アジア、インド、ヨーロッパに力を入れていくつもりです。

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