箱根駅伝優勝「駒澤大学」で起こった「ミスコン」不正騒動 “投げ銭地獄”に“罰金ルール”という大人が知らない過酷な実態とは

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月100時間

 このような大学生によるライブ配信は、“インターネットキャバクラ”“無料キャバクラ”と呼ばれ、これまでも投げ銭をダシに女子学生に絡む“ミスおじ(ミスコンおじさん)”の存在が問題視されたこともあった。

 実際、ある大学のコンテストに出場した女子学生もこう話す。

「私は昨年出場しましたが、配信イベントのある期間は、配信時間が月100時間を超えることも珍しくありませんでした。しかもライブ配信をするのは視聴者が付きやすい午後9時から深夜にかけて。そのためにバイトを辞め、勉強時間も睡眠時間も削ってライブ配信に取り組むんです。単に喋っているだけではポイントは得られず、ファンから寄せられるコメントに全て丁寧に返信するなど細かい配慮も欠かせません。配信がない日でもファンの方からコメントが100件近く届くため、それに返信する必要がある。ミスおじのニックネームとか趣味、職業、居住地をノートにメモしてあって、それを見返しながら返信内容を考えるので、返信の代行を家族や友人に頼むこともできない。返信をしなかったり手を抜いたりするとポイントを貰えないどころか誹謗中傷で配信を邪魔されることすらあるので、神経をすり減らします。もちろん有料アイテムで応援してくれる人や配信を褒めてくれる人もいて自己肯定感が上がることもありますが、不快になるような質問をしたり、リアルでの交際を求めてくる人もいます。アイドルやモデルと違ってミスコンの学生は必死に返信をしますから、ミスおじたちも楽しいんでしょう」

プライベートな写真をお見せします

 昨今のミスコンはそこまでしないといけないのか――。善良な“オトナ”なら胸を痛めるような話ばかりだが、さらに過酷な取り組みをしている女子学生もいるという。

「ミスコンを開催している多くの大学では、ライブ配信のポイントと別に、LINEなどのSNSを利用して1日1回投票できるシステムを取り入れているんです。これを利用して“数日間連続で投票してくれたらInstagramでプライベートな写真をお見せします”とか“メッセージ動画を送ります”などとミスおじを積極的に釣りに行く学生もいます。ライブ配信で稼ぎ出したポイントの途中経過は逐一配信アプリのランキング表に掲載されて、大学の枠を超えて“人気”の有る無しが晒されますから、みんな必死に頑張ります。授業中でも遊びに行っている最中でも、ずっと配信の順位争いが頭から離れなくて、夢の中にまで配信のことが出てくる。ライブ配信アプリの運営会社からすれば、ミスコンは手放せないコンテンツだと思いますよ」

 もはや“学生のお遊び”では済まされないレベルに達している過酷な「ミスコン」。駒澤大学でトラブルに発展したのも、このライブ配信アプリと無縁ではなかった。

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