箱根駅伝優勝「駒澤大学」で起こった「ミスコン」不正騒動 “投げ銭地獄”に“罰金ルール”という大人が知らない過酷な実態とは

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ライブ配信

 キャンパスコンテストなんて所詮は大学生のお遊び。“不正だ”なんて大袈裟な――。そう感じる向きもあるかもしれないが、駒澤大学に限らず、今やキャンパスコンテストは学生が心身をすり減らす過酷なレースに変貌しつつある。

 昨年も東は東京大学や慶應義塾大学、青山学院大学、西は関西大学に関西学院大学、同志社大学、立命館大学といった名門大学で学生有志によるキャンパスコンテストが開催されているが、出場する学生たちの負担が増加しているのはどこも同じ。ある大学のコンテスト運営に携わった学生によれば、そこには共通の原因があるのだという。

「かつてのミスコンといえば、学園祭当日に学生たちが投票で候補者の中からグランプリを選出するというものだった。でもここ数年、ライブ配信アプリの台頭で、キャンパスコンテストもライブ配信を使った審査が一般的になっている。これに合わせて審査期間も長期化していて、たいていの大学が7月から11月の学園祭まで、4カ月にわたってコンテストを開催しているんです」

 ライブ配信アプリとは、テレビなどの仕事があまりない若いタレントやアイドル、女優がアプリ上でトークライブを行い、それをファンに視聴してもらうことで収入を得ることが出来るもの。単に配信をすれば収入が得られるわけではなく、稼ぎをあげるためにはファンにアプリ内で購入したポイントやアイテムを渡してもらう、つまり“投げ銭”をしてもらう必要がある。そして、この“ライブ配信”と“投げ銭”こそが、キャンパスコンテスト過酷化の要因となっているのだ。

投げ銭

「キャンパスコンテストの場合、集めた“投げ銭”が収入ではなくコンテストの点数に直結するため、より多くのポイントを得るために学生は投げ銭をしてくれる視聴者に迎合せざるを得ないところがあるんです。なにせライブ配信で得たポイントはコンテストの得点の3分の1程度を占めるため、配信で大きな差を付けられてしまうと挽回することが出来なくなる。配信レースが過熱するのは当たり前で、トータル400万~500万ポイントを稼ぎ出す学生も珍しくありません。このポイントは100ポイント=120円で購入されるものなので、400万~500万ポイントだと単純計算で600万円近くの売り上げ。出場者たちはこれを7月から11月までの4カ月間で稼ぎ出すことになる。ちなみにライブ配信アプリの視聴者の多くは男性。ですからキャンパスコンテストにジェンダーフリーの風がいくら吹いたところで、男子学生の配信はほとんど需要がありません。一方、キャンパスコンテストに出場している女子学生の配信はアプリ内でも人気になることが多く、多くの男性客が視聴に訪れる。中には女子学生相手に何十万円もするアイテムを“投げ銭”してくれる太客のような男性もいますし、投げ銭など一切せずにひたすら“無料”で女子学生たちの配信をザッピングしている人もいます」

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