「ルフィ」裁判は棄却されず 弁護士は記者の直撃に「ノット・イエット!」 日本メディア殺到でもみくちゃのフィリピン裁判所前から実況中継
メディアの緊迫を削いだ「朝礼」
「これは毎週月曜日に行われている市の『朝礼』です。フィリピンではありきたりな光景ですよ」(現地メディア関係者)
市長や市幹部の挨拶、表彰に国歌斉唱、国旗掲揚……。最後は会計課職員約30人によるダンス「ハスラー」の披露まで行われる、日本では見慣れない朝礼だ。みな踊ったり、歌ったりみな楽しそうである。この最中、朝礼に出席するためやってきた市長の車を裁判関係者とメディアが取り違え、取り囲んでしまうハプニングも起きた。
朝礼が終わったのは8時半過ぎ。ようやく渡辺・小島両容疑者の弁護士であるエルジュン・リコ氏が現れると、メディアは雪崩を打ったように駆けつけた。
記者やカメラマンに埋もれたままリコ氏は黙って庁舎に入っていった。しれっと後をついて、建物内に突撃しようとするテレビ記者も二人いたが、警備員に制止されていた。
それから待つこと2時間。まず出てきたのは、渡辺容疑者を告訴している張本人の「元妻」だった。記者たちが待っていた出入り口からの入りは確認されておらず、どうやら裏口からこっそり入っていたようだ。「元妻」はメディアの油断の隙を突き、車に乗り込んであっという間に行ってしまった。
日本人に落ち着けと通訳してくれ!
それから数分後に弁護士のリコ氏が出てくると、現場はまさに“阿鼻叫喚”と化した。殺気だった日本のメディアがリコ氏を取り囲み、もみくちゃに。「ガチャン」と脚立が倒れる音や「キャー」という女性の悲鳴……。いつ将棋倒しが起きてもおかしくない状況だ。
フィリピンメディアがタガログ語で、「危ないからやめろ!」、「道を開けて」、「誰か日本人に落ち着けと通訳してやってくれ」と叫ぶが、ヒートアップしてしまった日本メディアは止まらない。
当初、囲み取材を受けそうな構えだったリコ氏だが、身の危険を察したのか、車に向かって歩き出した。その時、偶然にも記者は氏の横に張り付けた。
――審議は棄却されたか?
「ノー! ノット・イエット(まだだ)!」
リコ氏はそう叫ぶと車に乗り込み、どこかへ行ってしまった。告訴は棄却されなかった模様だ。弁護士事務所によれば、氏はこれから「ビクータン収容所」に向かい、渡辺容疑者らに状況を説明するとのこと。
まず一人、4人同時、二人だけ、あわよくば4人の二段構え……。タイミングも含めると、何回話が変わったか、もはやわからなくなってしまった今回の強制送還。またいつ何時ひっくり返るかまだわからないが、7日午前の4人同時説だけは潰えてしまったようである。
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