妻とも不倫相手とも別れがたくて… 自分の“ゲスなひらめき”を一生後悔するアラフィフ夫の悶え

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巧憲さんが求めたのは「3つ目の道」

 それから彼は、芙美恵さんにのめり込んだ。妻には生活費のみを渡すようになり、残りは預金するはずだったのだが、予定の半分は芙美恵さんとのデートに使った。とはいえ、芙美恵さんはプレゼントも拒んだし、「うちに来るならご飯作っておきますよ」と言ってくれるタイプ。彼は芙美恵さんの好きなワインや予約しないと買えないお菓子などを持って、彼女の部屋を訪れるようになった。芙美恵さんの笑顔を見られればそれでよかった。

「芙美恵は僕の家庭のことを知りたがりましたが、話すつもりはありませんでした。ただ、責任上、離婚はできない、どうしてもできないと伝えていました。妻との関係には期待していなかったけど、もし離婚して妻が親権をもったら、絶対、子どもたちを僕に会わせないだろうという確信があった。だから離婚だけは避けたかったんです」

 それなら芙美恵さんとの関係に終止符を打って、家庭に戻って再構築する手もあったはずだが、巧憲さんは、当時はそう考えられなかったという。もちろん、気持ちはわかる。話し合えばいいと第三者は軽く言うが、それができない状況であることを、巧憲さん自身がひしひしと感じていたのだろう。妻との溝がいびつすぎる、と彼は思っていたらしい。

「まずは妻の親との関係が問題。本当に彼女が自分の親を大事に思っているからお金を渡したり贅沢させていたりしたのか。僕にはそうとは思えなくて。親から脅されるようにしていたのではないかとも考えられるから。ただ、いずれにしろ長い間にできあがった親子関係に、僕は入っていくことはできない。 だから、妻にはなんとかしてほしいとは言っていた。ただ、妻は預金がなくなるまで親に貢いでいた。それも自分のお金ではないからでしょう。そこは妻と僕との関係が絡んでくる。なんかね……もう、めんどうになったんです。当時、会社の先輩たちと副業も始めていたので、稼げばいいんだとしか思えなかった」

 芙美恵さんは結婚経験がない。だから「離婚はしないけど、きみさえよければずっとつきあっていきたい」という巧憲さんの気持ちを、きちんと理解していたわけではないだろう。

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