16万人の「脳MRI画像」を見てきた専門家が解説 脱「三日坊主」を可能にするトレーニング術とは

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「やめるのはいやだ」という現状維持バイアス

 つまり、三日坊主を生み出していた「これまでやっていなかったことをやるのは嫌だ」という現状維持バイアスが、1週間継続することによって「これまで続けてきたことをやめるのは嫌だ」という現状維持バイアスに転換するのです。

 このように、小さな歩みを積み重ねることで三日坊主を脱し、継続的に脳に刺激を与え、生涯健康脳の実現を可能にするわけです。

 このスモールステップ法は学び直しに限らず、あらゆる認知症対策に生かせます。

 脳を活性化させる運動、脳に良い食事、脳を健康にする生活習慣。

 世の中にはさまざまな認知症対策が紹介されていますが、どれも続かなければ意味がありません。散歩であればまずは100メートルから、食事を工夫するのであれば3食全てではなく1食から。認知症対策も小さな歩みから始まるのです。

瀧 靖之(たきやすゆき)
東北大学加齢医学研究所教授。1970年生まれ。東北大学大学院医学系研究科博士課程修了。MRI画像を用いたデータベースを作成し、脳の発達や加齢のメカニズムを研究。16万人分の脳MRI画像を読影、解析。『脳はあきらめない』等、著書多数。

週刊新潮 2023年1月26日号掲載

特集「4人の賢者が徹底解説! 決定版『認知症』の『予防と対策』全知見」より

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