春高バレー、ずさんなコロナ対策で起こった悲劇 3連覇の夢を踏みにじられた岡山就実校長が語った悲憤

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医療機関では“陰性”だったが…

 検体が持ち去られ、自分で結果を確認できないだけに、生徒たちは納得がいかなかったようだ。しかし、

「頼んでも、見せてもらえなかった。そこでホテルに戻って後、学校の抗原検査キットで再度、全員が検査すると、当然、陰性でした。さらに2名を医療機関に連れていき、PCR検査を受けさせると、やはり陰性です。そこで翌6日、陰性と認めてもらうために朝6時ごろから選手と監督が体育館に行き、実行委員の方々を待ち構えて陰性だと訴えましたが、相手にしていただけませんでした。最終的には学園の理事長が合流し、話は聞いていただけましたが、運営側は進行を遅らせるわけにはいかないと」

 7日夕にチームは学校に戻ったが、

「みな泣き崩れているという状況。かける言葉もありませんでした。その後、理事長が実行委員会側に直接の説明を求めましたが、できないと言われました」

例年並みの状況なのに

 土日も含めほぼ毎日、練習を重ねながら、運営側の不透明な対応で努力がふいになるとは理不尽にすぎるが、そもそもコロナは、陽性者一人が出たらチームを欠場にすべき病気なのか。

「新型コロナはもう5番目の風邪コロナでいい」

 と言うのは、浜松医療センター感染症管理特別顧問の矢野邦夫医師である。現在、1日あたりのコロナによる死亡者が過去最高を更新し続け、500人を超えたと騒がれているが、

「いまは高齢者でがんなどの基礎疾患がある人が、偶然コロナに感染して亡くなる、という例が多い。コロナが直接の原因で重症化する例は少なく、死亡者のほとんどはもともと基礎疾患がある人で、複合的な要因があり、最後の決め手がコロナだというだけでコロナ死になっているのです。コロナ禍以前も、冬場は高齢者を中心に風邪やインフルエンザによる死者が増え、高齢者施設でクラスターが起きていましたが、コロナ禍でそれが可視化され、死亡者が増えているように見えている可能性が高い」

 老年医学が専門の精神科医、和田秀樹氏も言う。

「例年、インフルエンザ関連死は約1万人で、インフルが直接の死因なのが約3500人。風邪が統計に乗らないのは、こじらせて肺炎が死因になる人が多いからで、肺炎の死者は年間約7万人。誤嚥性肺炎は統計上別枠なので、7万人のほとんどが院内感染か、風邪をこじらせた結果です」

 この冬も例年通り、風邪をこじらせる高齢者が多い、というに過ぎないようだ。

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