ツケ回収のため客に「1都5県」出稼ぎ売春させた元ホストが逮捕 システム化する“風俗堕ち”の手口とは

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あえてナンバーを狙わないホストも

 ひとりを店に入れればスカウトはウン百万円をバックとして受け取る、なんて噂もSNSではまことしやかにささやかれているが、“買い取り”と称されるそうした形での入店は、よほどランクの高い女性でない限りめったにない。基本は歩合制。女性が稼ぎ出した店の売上のうちの20%、好条件では50%をスカウトが受け取るのが一般的で、これがホストから紹介された女性であれば、さらにそのバックをホストと分け合うことになる。

「ホストの中にはナンバー(店のランキング)をあえて追わずに、自分についた客を僕らスカウトに回すことを熱心にやっている奴もいます。ホストとして出世しなくても、それで食っていけるわけですから。そうなるともうホストか何か分かりませんよね。女衒(ぜげん)業ですよ」(先のスカウト)

 このほか、仕事のやる気がない女性をホストクラブに連れて行き“ホスト漬け”にさせてツケを作らせ、積極的に働かせるというケースもあると聞いた。

 恋愛感情につけ込み、効率よく金を回収する……ホストとスカウトが結託するのは女性を搾取する最悪の組み合わせといえる。今回逮捕された中には当時19歳だった女性もいる。スカウトの宇田川容疑者と共に逮捕されていることから、この女性は“女スカウト”だった可能性が高い。同性として女性を油断させる役回りだ。

 いずれにせよ今回の事件は氷山の一角に過ぎない。先鋭化するシステムにメスを入れる目的で、警察は逮捕に踏み切ったのだと信じたい。

酒井あゆみ(さかい・あゆみ)
福島県生まれ。上京後、18歳で夜の世界に入り、様々な業種を経験。23歳で引退し、作家に。近著に『東京女子サバイバル・ライフ 大不況を生き延びる女たち』(コスミック出版)。主な著作に『売る男、買う女』(新潮社)、『東電OL禁断の25時』(ザマサダ)など。Twitter:@muchiuna

デイリー新潮編集部

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