公明党の常軌を逸した「中国へのすり寄り」 「安保3文書」協議では自民案を丸のみ

国内 政治

  • ブックマーク

Advertisement

「正直に言って、肩透かしを食った気分だ――」

 自民党国防族の一人は、政府が決めた反撃能力の保有に関する公明党の無抵抗ぶりに拍子抜けした様子だ。いわゆる「安保3文書」の自公の実務者協議でも「ベタ降りだった」(同)という。

“平和の党”を標榜する公明党は、過去にも安保政策の転換に激しく逆らってきた。平成27年に成立した平和安全法制を巡る自公協議の際も、山口那津男代表(70)は集団的自衛権の行使容認に断固反対している。

 政治部デスクが解説する。

「支持母体の創価学会向けのアピールです。与党の一角として“歯止めをかけている”と示さないと、思わぬ反発を受けますからね」

 反撃能力は敵領土への攻撃を可能にする。それだけに政府・自民党は、公明党の猛反発を覚悟していた。

「ところが、公明党が求めたのは“自衛の措置”との位置付けや“専守防衛”を維持するという当然のことばかり。協議というより、確認作業だった」(前出議員)

 公明党のベテラン秘書は、理由を次のように指摘する。

「若年層を中心に、学会内に現実的な考え方が浸透している。北朝鮮が弾道ミサイルをバンバン撃ってくるのに“反撃能力はダメ”なんて言ったら“共産党みたいな非現実的なことを言うな”と批判されますよ」

 加えて、アノ問題も。

「旧統一教会の高額な寄付問題の飛び火が怖い。学会における寄付の“財務”は、いまでもトラブルになることがありますから」

内容はほぼ骨抜きに

 一方で、「国家安全保障戦略」における情勢認識にはかみついた。中国を〈安全保障上の重大な脅威〉とする提言を一蹴したのだ。前出の政治部デスクが振り返る。

「昨年に50周年を迎えた昭和47年の日中国交正常化は、学会の池田大作名誉会長と公明党議員の外交成果というのが彼らの主張。日中友好は公明党の党是に近く、節目の年に“中国は脅威”とするのは論外でした」

 やむなく自民党は「国家防衛戦略」で代案を提示した。昨年8月に日本の排他的経済水域(EEZ)に撃ち込まれた弾道ミサイルが「わが国及び地域住民に脅威と受け止められた」としたものの、公明党はこれも拒絶。最終的に〈わが国及び〉の削除で決着した。

「自民党がこだわった“脅威”は残りましたが、内容はほぼ骨抜きに。北側一雄副代表(69)は“国として中国を脅威と認識したのではない”と得意満面でした」

中国へのアピールか

 公明党の常軌を逸した媚中の背景には、山口代表の思惑があった。前出のベテラン秘書がそっと明かす。

「山口さんは通常国会の召集前に訪中し、習近平国家主席との会談を画策していた。およそ3年4カ月ぶりの訪中の調整中に北京を刺激するのは好ましくない、と危惧したようです」

 山口代表は過去に6回訪中しているが、直近の2回は習氏と面会できていない。

「今回も会ってもらえなければ“日中の橋渡し役”を自負する党の沽券に関わります。だからこそ、なりふり構わず抵抗し、習氏に“公明党は最後まで頑張りました”と訴えたかったのでは」

 幸い、日本政府が空港等での検疫体制を強化したことに中国側が猛反発。山口代表の朝貢は見送られる公算が大きくなりつつある。

週刊新潮 2023年1月19日号掲載

メールアドレス

利用規約を必ず確認の上、登録ボタンを押してください。