愛犬家に朗報 首輪を見れば5色のLEDで犬の感情が分かる「イヌパシー」開発秘話

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 心拍数や心拍変動(鼓動の時間間隔・HRV)を解析することで、世界で初めて犬の気持ちがわかる首輪型のデバイス「イヌパシー・カラー」が今春発売される。開発を手掛けたのは、ベンチャー企業のラングレス(本社・東京)だ。

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 ラングレスは2018年、胴回りに装着するハーネス型の「イヌパシー」(2万9800円)を発売。22年、それを軽量化した首輪型「イヌパシー・カラー」(2万5800円)を開発した。リラックスしていると緑、ドキドキ(興奮)するとオレンジ、ハッピーはレインボー、興味津々は白、ストレスは紫……と5色のLEDで犬の気持ちを表示する。22年4月に先行予約受付のクラウドファンディングを開始し、5月末までに目標額の721%となる576万9300円を集めた。

心拍変動で犬の感情を検知

 興奮していると心拍数が増え、リラックスしている時は心拍数が減るのは分かるが、ハッピーや興味津々、ストレスはどうやって検知するのだろうか。

「鼓動と鼓動の間隔である心拍変動によって分析します」

 と語るのは、ラングレスの代表取締役CEOの山入端佳那氏。

「息を吸うと鼓動が速くなり、息を吐くと鼓動が遅くなります。そのため、鼓動と鼓動の間隔はばらつきがあります。ところが、興味を持っていることに集中すると、このばらつきがなくなって、一定の間隔になります。また、ハッピーと感じた時や、ストレスを感じた時は、それぞれ鼓動の間隔のばらつきが変わってきます。それを解析することで犬の感情を読み取るのです」

 イヌパシーの開発は、2010年から始めた。

「開発を手がけたのは、代表取締役CTOの山田譲二です。彼は大学で動物行動学の研究をしていて、卒業後、ソフトウェア開発会社でシステムエンジニアとして働いていました」

 山田氏は、初めて犬を飼った際、なかなか懐いてくれなかったという。

「動物行動学を研究したのに、愛犬の気持ちがわからなかったそうです。どうしたら犬の気持ちを理解できるか、色々調べていくうちに、心拍に着目したといいます。犬に心拍計を装着したり、聴診器で心拍を測定したりしながら、犬がハッピーな時やストレスを感じる時、興奮するとき、どのように心拍が変化するのか研究しました。そして2015年、イヌパシーの試作品が完成し、株式会社イヌパシー(現・ラングレス)を立ち上げました」

 当時、山入端氏はリクルートコミュニケーションズに勤務していたが、動物福祉活動も行っていた。

「2016年、動物福祉関係者から山口を紹介してもらいました。彼と会って、動物に対する価値観が同じだったため、意気投合しました。そして2017年、彼と一緒にイヌパシーの開発を本格的に始めました」

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