「超大型契約」が相次ぐ一方で…中継ぎ投手への“厳しすぎる査定”が是正されない「根本的原因」

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長く活躍することが難しいポジションだからこそ

 中継ぎ投手の待遇が低いのは日本だけではない。メジャーでは、昨シーズン終了時点で通算200ホールド以上を記録している投手は6人いる。最高年俸はセルジオ・ロモ(2016年当時、サンフランシスコ・ジャイアンツ)の推定900万ドルとなっている。日本に比べれば、かなりの高額ではあるとはいえ、メジャーでトップクラスの先発投手が3000万ドル以上の高額年俸であることを考えると、やはり待遇は低い。

 かつて選手の査定にも関わっていた元パ・リーグ球団の職員は、その背景を以下のように話す。

「セイバーメトリクスといった分析方法で、選手の能力を数値化するのが一般的になっていますが、現在の考え方だと、どうしてもリリーフ投手の数字は低くなります。先発投手は1年良い成績を残すと、一気に年俸が上がることが多いですが、中継ぎが上がりづらいのは、それも一つの要因ではないでしょうか。負担を考えて試合に登板しなくても、ブルペンで肩を作った回数を査定に入れるなどしていますが、大きなプラスにはなりません。野球界全体の考え方が大きく変わらない限り、平良投手のように、中継ぎで成功したら先発転向を訴える選手はこれからも出てくると思います」

 プロ野球投手は「3年続けて成績を残して一人前」という言葉もあるが、負担の大きい中継ぎはそれも簡単ではなく、仮に活躍したとしても3年程度ではそこまで評価されないというのが現状と言えそうだ。

 しかしながら、昨年ともにリーグ連覇を果たしたオリックスとヤクルトを見ても、中継ぎ投手陣の頑張りがチームを押し上げていたことは間違いない。先発投手の完投が減っていることを考えても、もっと中継ぎ投手にスポットライトが当たっても良いのではないだろうか。長く活躍することが難しいポジションだからこそ、今後多くの選手にとって“納得感のある評価”へと変わっていくことを望みたい。

西尾典文(にしお・のりふみ)
野球ライター。愛知県出身。1979年生まれ。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究。主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間300試合以上を現場で取材し、執筆活動を行う。ドラフト情報を研究する団体「プロアマ野球研究所(PABBlab)」主任研究員。

デイリー新潮編集部

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