「山上容疑者」起訴で振り返る「安倍元首相」警備のおざなり感と中村前長官の心境

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なぜあの場所だったのか?

 昨年夏の参院選で、候補者の応援演説中の安倍晋三元首相を銃撃した山上徹也容疑者が1月13日、殺人罪で起訴される。警察庁は前代未聞の事件後、検証チームを立ち上げ、2度と同じようなことが起こらないための仕組みを作りつつあるが……。そういった検証には出てこない警察キャリアの生の声を紹介しつつ、事件後に引責辞任した中村格前警察庁長官の当時の心境などについて触れる。

「警察庁のキャリアの1人は、“あの場所でなぜ演説をやることになったのか疑問でならない。360度どこからでも狙われる可能性があるから、どうしても警備が難しい。というか無理ですね”と話していました」

 と、社会部デスク。

「“ここで仮に襲撃があったらどうなるかを想像すれば、別の場所にしようとなるはずです。そんなに難しい判断ではない。各方面から指摘を受けていますが、トラブルは起こりえないだろうと勝手に判断して警備の計画を進めてしまったのでしょう”とも話していました」(同)

 事件前から決まっていた再開発計画によるものとはいえ、安倍氏が立っていた周囲のガードレールの撤去が進められているのは皮肉と言わざるを得ないだろう。

できれば来てほしくなかった

「“私の感覚が古いということではないと思いますが、大物政治家が演説にやってきたり皇族方がお出ましになったりする際には身が引き締まると同時に、良い意味で気持ちがたかぶるものです。誤解を承知で言うならお祭りみたいな印象がある”と語っていました。加えて、“地元の警察の能力のすべてが問われていると意気込むものだ”とも」(同)

 まさに腕の見せどころということなのだろう。

「“もちろん緊張感は相当あるのですが、楽しそうに準備をするんですよ”とそのキャリアが話していたのが印象的でした。“その点、安倍さんの警備については全く前向きな感じを受けない。できれば来てほしくなかったというようなおざなりな感じですよね。やりがいのかけらもありませんよ”と厳しく批判していました。そういう前提じゃないと到底理解できないほどの甘さを、今回の警備に見て取ったというわけです」(同)

 一方で当時のトップ、中村格警察庁長官はどういった心持ちだったのだろうか?

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