埼玉・狭山の銃撃事件の語られざる深層 なぜ妻子の前で射殺されなければならなかったのか

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なぜ妻子の前で狙われたのか?

 では犯人側の動機はどういうものだったのか。鈴木組長はなぜ妻子の前で狙われたのか?

「4年ほど前、神奈川・川崎で稲川会の2次団体・山川一家の若頭補佐が狙撃される事件がありました。若頭補佐は無事でしたが、その妻とドライバーの組員が銃弾を浴びて重傷を負っています。特に妻はヒットマンに向かって行った結果とのことでした。

「当時、犯人については山川一家を破門された組員が兄弟分を通じて、信頼できる人物に銃撃を依頼したといわれていました。そのヒットマンが鈴木組長だったわけです」(同)

 山川一家といえば6代目稲川会・内堀和也会長の出身母体で、紛れもない中核組織だ。

「破門の理由は組織の規律違反ということでしたが、それを不満に思ったがゆえの犯行と思われます。直接手を下さず、別組織に所属する鈴木組長がヒットマンとなったわけですが、今回はその報復を受けたということになりますね」(同)

 内堀会長は、6代目山口組の若頭補佐で中核組織・3代目弘道会の竹内照明会長とは兄弟分だ。

「お蔵入り」の可能性が

 一方で、絆會の織田絆誠会長はかつて6代目に反旗を翻し、神戸山口組の創設に参画した立場。つまり、元は稲川会内部の揉め事だったものが、山口組分裂抗争とシンクロしてしまった形なのだ。

 このままさらに2代目川田組、絆會側が反撃という具合に事態がエスカレートする可能性はないのか?

「以前、絆會は織田会長の自宅に車両特攻をされても報復をしませんでした。それに見合うだけの勢力が整っていませんからね。それを踏まえれば今回のことで何かアクションを起こすということはなさそうです」(同)

 絆會と運命共同体とされる池田組についても、

「池田組自体がトップを6代目側から狙われている状況で、たとえ運命共同体といえども、他の組織に手を差し伸べる余裕はないはず。とにかく我慢ということになりますね」(同)

 今年初と言える抗争事件の現場は住宅街。防犯カメラは非常に少なく、犯人もフルフェイスのヘルメットを被っており、その情報も少ない。埼玉県警は75人体制で捜査本部を立ち上げたようだが、「お蔵入り」の可能性が極めて高いというのが捜査関係者の偽らざる印象だという。

デイリー新潮編集部

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