伝説のバラエティ「風雲!たけし城」が今年復活 令和の“アマプラ”版に期待すべき理由

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 1980年代後半にTBSで放送されていた視聴者参加型のアトラクション番組「痛快なりゆき番組 風雲!たけし城」が「復活!風雲!たけし城(仮題)」として2023年にAmazon Prime Videoで配信される。

「風雲!たけし城」は、一般人の参加者が池の上の飛び石を渡ったり、不安定な吊り橋を歩いたりするステージを攻略して、最終的に「たけし城」の城主であるビートたけしと対決をする、という内容だった。この番組は社会現象を巻き起こすほどの大ヒットとなり、世界各国でも放送されたり、番組フォーマットが輸出されて現地版が制作されたりした。

 昨年7月には復活版の撮影が始まった。昔と同じ緑山スタジオに巨大なセットが作られ、300人以上の参加者が難関ゲームを突破してたけし城の攻略を目指した。「竜神池」「ジブラルタル海峡」「キノコでポン」など、かつての難関ゲームも完全再現されていて、挑戦者たちの行く手に立ちはだかった。

 今回の復活企画で密かに注目されているのは、総合演出を務めるのがフォルコムの代表取締役である乾雅人氏であるということだ。乾氏といえばTBSの看板番組「SASUKE」の総合演出を長年務めてきた人物である。そんな彼が「たけし城」を手がけるとなれば、期待しないわけにはいかない。なぜなら、「SASUKE」こそは、「たけし城」のDNAを受け継ぐ正統な番組であると言えるからだ。

「SASUKE」では、100人の挑戦者がさまざまな障害物が仕掛けられたステージに挑む。その人気は国内だけにとどまらず、日本の番組が世界165の国と地域で放送されている上に、アメリカでは「American Ninja Warrior」という現地版の番組も制作されている。「SASUKE」は視聴者に愛されているだけではなく、出場者にも思い入れが強い人が多い。

バラエティで「真剣勝負」の画期的

「SASUKE」にはルーツとなる番組が2つあるのではないかと思う。1つは「風雲!たけし城」であり、もう1つは1995年から2004年に放送された「筋肉番付」である。どちらも、挑戦者が体を張ってさまざまなゲームや競技に挑むという形式の番組である。

 一般人が体を張って大掛かりなゲームに挑戦するという点では、「たけし城」と「SASUKE」は共通している。

 ただ、「たけし城」では出場者一人一人のキャラクターが詳しく紹介されることはなかったし、出る側も見る側も遊び半分で番組を楽しんでいるようなところがあった。

 一方、「筋肉番付」では、プロのアスリートや体力自慢の一般人がさまざまな競技に挑む。その競技の中には、ボールを投げてパネルを打ち抜く「ストラックアウト」のように、純粋にスポーツの実力を問うようなものもあれば、ゲーム的な要素が強いものもある。

 いずれにせよ、この番組では出場者が競技に挑む姿をお遊びなしの真剣勝負として見せていた。いわば、バラエティ番組の中にスポーツ番組の「真剣勝負」という要素を持ち込んだのだ。この演出が当時は画期的だった。

「筋肉番付」の企画から派生する形で「SASUKE」が生まれた。「SASUKE」でも「真剣勝負」というコンセプトはしっかり受け継がれている。アナウンサーによる実況はスポーツ中継のように真面目なトーンであり、鉄骨で組まれたセットが照明で鮮やかに照らされている。また、出場者のレベルが上がるにつれてステージの難易度も容赦なく上がる一方だ。

 難しすぎて近年ではファイナルステージにたどり着く人すら出ないこともあるのだが、番組側は一度上げたレベルを下げることはない。それは真剣勝負の流儀に反するからだろう。

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