日本代表が抱える「2023年問題」とは 森保監督にはデュッセルドルフに移住を勧める理由
アジアカップ問題
とはいえ今年1年は、代表監督として難しい舵取りになることが予想される。
先に紹介した欧州と違い、3月のIMD(選手を招集できる公式試合開催日)は“親善試合”になるからだ。
さらに付け加えると、ここ3大会はW杯の翌年1月に開催されていたアジア最大の大会であるアジアカップが、今年は延期されることが決定している。
当初は6月に中国で開催予定だったものの、「ゼロコロナ政策」により開催を返上。代替開催に名乗りをあげたのがカタールで、昨年10月17日のAFC(アジアサッカー連盟)総会で決まった。しかし、さすがにW杯後すぐの開催とはいかず、24年1月に先送りされる見通しだ。
2010年の南アW杯以降、新たに就任した日本代表監督の最初の公式戦はアジアカップだった。
それぞれ11年はカタール、15年はオーストラリア、19年はUAEで開催された。中東は猛暑を避けるため、南半球のオーストラリアも気候が温暖な1月に開催された。
W杯から半年後とほとんど準備期間はなかったが、11年のアルベルト・ザッケローニ監督は優勝を、19年の森保監督は準優勝を収めている。
そして23年は、04年の中国大会以来となる極東エリアでの開催予定だったが、前述したようにコロナの影響で延期。このためアジアの主要な国際大会は“オイルマネー”に席捲されているのが現状だ。
招待チームの“質”
ここで改めて今年の日本代表のカレンダーを整理しよう。JFAは昨年12月23日に各カテゴリーの2023年の年間スケジュールを発表した。
まず3月のIMDは、23日(国立競技場)と28日(ヨドコウ桜スタジアム)にキリンチャレンジカップが開催される。6月は15日(トヨタスタジアム)と20日(パナソニックスタジアム吹田)に、同じくキリンチャレンジカップの招待チームと対戦する。
問題となるのは、海外からの招待チームの“クオリティ”である。ネーションズリーグ(偶数年の9~11月に予選がスタートし、翌年の3月と6月にプレーオフと決勝大会が開催)のおかげで、欧州の代表チームを呼ぶことはできなくなった。
実際、18年9月11日のコスタリカ戦が初陣となった森保ジャパンは、カタールW杯のクロアチア戦まで62試合を戦ったが(41勝12敗9分け※PK戦は引分け扱い)、ヨーロッパ勢と対戦できたのは21年6月11日のセルビア戦(1-0)の1試合だけだった。
それ以外は、アジアを中心に南米、北米、中米の国々ばかりで、20年10月のヨーロッパ遠征でも対戦できたのはカメルーンとコートジボワールといったアフリカ勢だった。
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