YouTube詐欺に引っ掛かった被害者2人の実例 共通点は中国語訛りの日本語を話す怪しげな人物

国内 社会

  • ブックマーク

自称「投資のスペシャリスト」

 Bさんも「スマホを見るだけで収入がUPし、億万長者になれる」という広告を信じた一人だ。スマホに電話をかけてきた「イシハラ」という女性に勧められるまま、ポイントを買い漁ってしまった。

 イシハラはBさんに「未公開コインに投資してください」と説明した。「未公開コイン」とは新種の仮想通貨のことである。

 実はBさん、過去に某仮想通貨が上昇したおかげで、1000万円以上の利益を得た経験があった。2度目のチャンス到来と信じ込み、イシハラの話を疑うことはなかった。

 投資を始めて約1カ月で、Bさんはイシハラが勧める未公開コイン銘柄の全てに投資した。その額は約700万円近くに達した。

 Bさんはイシハラのことを完全に信じ込んでいた。LINEでも友達登録を行い、ビデオ通話も行った。

 イシハラは自分のことを「台湾生まれの投資スペシャリスト」と説明した。未公開コインが専門であり、仮想通貨取引所で登録(上場公開)されると多額の利益が得られる。20代半ばだが、もう10億円以上は稼いだ──こんなことを豪語した。

 時々、イシハラは「資産を日本に持ち込みたいが、どうすればいいか?」とBさんに相談した。

毎日6万円の送金

 Bさんは「日本で不動産を購入すればいい」と提案。いくつもの物件をLINEのビデオ動画で紹介した。

 Bさんが登録したサイト上では、初期投資した約700万円が約2億円以上に膨らんでいた。あとは引き出し可能となる利益分配日さえ待てば、この利益分を引き出せるという仕組みだった。700万円が2億円になるのだから、とんでもない利益率だ。まさに億万長者の気分をBさんは味わっていた。

 投資を開始してから約6ヵ月が過ぎた頃、Bさんに最初の利益分配日が訪れた。イシハラに確認すると、彼女は「あなたの銀行口座にカネを入れるけど、毎日6万円だけ入れます」と言った。

「確かに利益分配日は到来したが、現在、上場が遅れており、投資した未公開コイン銘柄は未公開のままなので、未公開中にカネを引き出してしまうとコインの価値が下がってしまい、公開時の儲けが減ってしまいます。利益の全額を引き出すのは待って、毎日6万円だけにしてほしい」

 Bさんが自分の銀行口座を確認すると、確かに6万円が振り込まれていた。Bさんはイシハラの話を信じた。

 Bさんは、毎日送金されてくる6万円を毎日引き出した。他に投資していた未公開コインの利益分配日が訪れると、イシハラは再び「公開するまで待ってほしい」と言い、やはり6万円を口座に送金してきた。

次ページ:300万円の被害

前へ 1 2 3 4 5 次へ

[4/5ページ]

メールアドレス

利用規約を必ず確認の上、登録ボタンを押してください。