YouTube詐欺に引っ掛かった被害者2人の実例 共通点は中国語訛りの日本語を話す怪しげな人物

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鳴り続ける電話

 電話に出ると、同じように片言の日本語で日本名を名乗る人物が、「あなたの担当者になりました」と話し始める。再びポイントサービスを強調した営業トークで投資金額の入力を迫って来るのだった。

 Aさんが「やりません。興味もありません」と断ると、担当者は「分かりました」と言ってすぐに電話を終えた。意外とアッサリとしたものだった。

 しかし、その数分後には、別の番号で、別の担当者から「私があなたの担当者になりました。よろしくお願います」と再び電話による勧誘を仕掛けてくるのだ。

 もう話しても無駄だと悟ったAさんは、電話が鳴っても出なくなった。すると、何度も連続して電話がかかってくる。

 1日に20回以上、繰り返しスマホは鳴り続けた。時間帯は主に昼か夕方だった。それが延々と毎日続く。

 着信拒否設定を考えたが、自分の番号を相手は把握している。別のスマホから電話をかけてくるのは明らかで、着信拒否にしても意味がない。

 Aさんは1日に20回以上鳴るスマホに耐え続けた。3週間も過ぎると、精神的にかなりのダメージを受けてしまった。刑法の観点から考えると、脅迫罪やストーカー規制法などに抵触しても全くおかしくない被害だろう。

実態は「恐喝グループ」

 Aさんは「確か、『500ドルを申し込んだら、さらに100ポイント追加され、合計700ポイントからスタートできます』と言っていた……。500ドルは、日本円で約6万5000円。それさえ払えば、この電話地獄が終わる……」と考えるようになった。

 そしてAさんは「ヨコヤマ」を名乗る担当者の電話に出た。言われるがまま、ネット上で自分のクレジットカードから500ドルを引き落とさせた──。

 その後、「キャンペーンが終了しました」という通知が届いた。もちろんAさんが月に50万円を稼げることはなく、500ドルを失って終わった。

 オレオレ詐欺にも同じ傾向が認められるのだが、電話を悪用した詐欺の詳細を見ると、詐欺師が言葉巧みに金銭を騙し取ったという被害事例ばかりではない。

 毎日続く電話攻撃から逃れるため、その対価として金銭を支払ったという被害者もかなりの数に上るのだ。

 ネット上で詐欺を働くような組織は、騙すテクニックばかりではなく、ターゲットに精神的な被害を与えて金を奪い取るテクニックも熟知している。

 詐欺師の粘り勝ちと言えるのかもしれないが、明らかに強要や恐喝に該当するのは言うまでもない。

 ネットにはびこる怪しい広告の裏には、詐欺組織が潜んでいるというより、「悪質な恐喝グループ」が登場するケースも多いと心得ていたほうがよさそうだ。

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