「感染爆発」の中国が報復措置で居直り“恫喝”! その裏で進む「集団免疫」獲得の企み

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 新型コロナウイルスの感染が急拡大している中国に対し、日本をはじめとした各国が「自衛」のために入国規制の強化に乗り出している。中国側は“報復措置”もチラつかせて猛反発するが、そもそも「入国時の隔離措置」など、水際対策をこれまで徹底してきたのは習近平政権であるという事実は動かない。“天に唾する”攻勢に打って出た裏にひそむ、中国側の思惑とは。

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 昨年12月30日以降、中国から日本への入国者には感染検査が実施され、陽性だった場合には原則7日間の隔離措置が適用されるようになった。同時に、中国と日本間の直行便の到着空港を成田・羽田・中部国際・関西国際の4空港に限定し、中国便の増便も制限。

 さらに1月8日からは入国時の検査を現行の抗原定性検査より精度の高いPCR検査か抗原定量検査へ変更し、陰性証明の提示も求めるなど、対策がより強化されることになる。

「岸田政権が追加策を打ち出したのは、中国が入国者に義務付けてきた隔離措置を8日から撤廃することを発表したためです。習近平政権は感染“封じ込め”を狙ったゼロコロナ政策を昨年12月に大幅緩和。それにより、中国がこれまで続けてきた海外からの入国者に対する最長3週間の強制的な隔離措置も撤廃されることになった。帰国時の長期隔離という面倒な手続きがなくなることで、中国本土からの海外旅行者が8日以降、急増する可能性に対処した措置です」(全国紙政治部デスク)

 日本の対策強化と前後して、アメリカやイギリス、フランス、イタリア、台湾、韓国、マレーシアなども中国からの入国者に対し、陰性証明提示の義務付けや入国時検査の実施を行うことを相次いで表明。各国ともコロナの感染状況に関する「中国政府の情報開示が不十分」であることなどを理由に挙げたが、中国側は猛反発している。

なぜか“被害者意識”に囚われる中国

 中国外務省の毛寧・副報道局長は3日、「中国に対する入国規制には科学的根拠がない」として、一連の動きを「政治目的」と批判。「相互主義の原則に立ち、相応の措置を取る」と“恫喝”までしてみせた。

 中国がここまで強硬な態度に出る理由を、中国問題に詳しい拓殖大学海外事情研究所教授の富坂聰氏がこう解説する。

「中国は各国の措置を“中国叩きの一環”や“中国に対する嫌がらせ”と捉えています。ゼロコロナ政策時に中国も入国規制を行っていたのは事実ですが、特定の一国を狙い撃ちにしたものでなく、一律にやっていたとの思いがある。各国は規制強化の理由に“中国発の新たな変異株出現”のリスクも挙げましたが、それはあくまで可能性の話に過ぎず、また中国だけを対象とした入国規制が各国の感染防止にどれほど効果があるのかを本気で問うている。むしろ中国としては“ゼロコロナ政策により、これまで新たな変異株が国内で出現するのを防いできた”として、“世界に貢献してきたのは中国のほうだ”との自負すら持っています」

 なんともムシのいい話に聞こえるが、日本をはじめ各国が不安になっているのは、中国の感染実態がまったく見えなくなっている点だ。WHO(世界保健機関)も4日、肺炎など呼吸器系疾患で死亡した者のみをコロナ死者数にカウントする現在の中国の集計法は「定義が狭すぎる」として、「中国は(コロナの)真の影響を過小評価している」と指摘した。

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