ナイジェリア人の彼氏に騙された20代日本人女性 韓国で服役するハメになったてん末【元公安警察官の証言】

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 日本の公安警察は、アメリカのCIA(中央情報局)やFBI(連邦捜査局)のように華々しくドラマや映画に登場することもなく、その諜報活動は一般にはほとんど知られていない。警視庁に入庁以後、公安畑を十数年歩き、数年前に退職。一昨年、『警視庁公安部外事課』(光文社)を出版した勝丸円覚氏に、ナイジェリア人の麻薬シンジケートについて聞いた。

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 勝丸氏は、かつて警視庁から外務省に出向し、アフリカ大陸の日本大使館に警備担当の外交官として赴任したことがある。今回紹介するのは、その頃に起こった話だ。

「ある日、現地警察の麻薬担当刑事から連絡があり、日本と関係のある情報を提供するから来て欲しいというのです」

 と語るのは、勝丸氏。

「その国には大麻の産地があり、麻薬のシンジケートができていました。運び屋を雇い、大量の大麻を海外に運んでいたのです。シンジケートの中心はナイジェリア人で、中国人やパキスタン人も加わっていました」

額縁に覚醒剤

 現地警察によると、大麻の運び屋が日本に渡航する計画があるという。

「運び屋は、現地に住む白人男性で、近いうちに日本大使館にビザ申請に来るというのです。名前や生年月日を教えてもらいました」

 その後、10日ほど経って、問題の男性が日本大使館にやって来た。勝丸氏が応対した。

「日本での立ち寄り先、宿泊先、スケジュールなどを聞き出しました。そして警察庁に、『麻薬の運び屋と思しき人物が日本に渡航するためビザを申請している。どうしますか?』と問い合わせると、『入国させろ』と指示されました。テロ組織と関係のある人物は、安全を考えてビザ申請を拒否する場合があります。一方、麻薬の運び屋はたいてい敢えて入国させます」

 勝丸氏は、警察庁に男性の情報を全て伝えた。

「結局、運び屋は成田空港から入国し、待ち構えていた警察官によって逮捕されました。麻薬探知犬も使ったそうです」

 これまで勝丸氏の情報で運び屋は3人検挙されたという。

「もっとも、気の毒なケースもありました。20代前半の日本人女性がナイジェリア人に利用されてしまったんです」

 現地の麻薬シンジケートが日本在住の何者かと頻繁に連絡を取っているという情報があった。捜査の結果、ナイジェリア人男性であることが判明した。

「警視庁に連絡してそのナイジェリア人の身辺を調べてもらったところ、彼には日本人の恋人がいることがわかりました。彼女は、彼が麻薬シンジケートの一員とは知らなかったようです。ある日、彼から『俺の代わりに友人から荷物を預かって来てくれないか』と私の勤務する国へ行くよう頼まれたそうです」

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