ロシア兵が焚き火をしてウクライナ軍に発見される動画が拡散…“冬将軍”の恐怖に苦しめられる未熟なロシア兵

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軍隊は冬が苦手

 デイリー新潮は、キーウでボランティア活動をするパルホメンコ・ボグダン氏に取材した際、現地の気温について訊いた(註)。その時の答えは以下のようなものだった。

《キーウは北海道と同じくらいの寒さと考えていいと思います。僕が勤めていた前の会社の上司が北海道の方で、キーウにいらした時に北海道と似ているとおっしゃっていました》

 札幌市の23日の最高気温は2度、最低気温は0度。確かにウクライナに似ている。

 比較のため、世界有数の厳寒地として知られるロシアのイルクーツクを見てみよう。日本気象協会の発表によると、23日の最高気温はマイナス8度、最低気温はマイナス15度となっている。

 ウクライナは極寒の国だと思っていたが、ロシアに比べればたいしたことはない──そう思った人もいるかもしれない。だが、それは完全な誤りだという。

「少なくとも陸軍の地上部隊にとっては、氷点下の気温は兵士の命に関わる問題です。マイナス1度でさえ野外での行動は危険が伴います。凍傷や低体温症で死者が出る可能性があるからです。しかも、風速が1メートル強くなれば、体感温度は1度下がります。軍隊は冬になると、著しく士気が下がって当然なのです」(同・軍事ジャーナリスト)

アメリカ軍の実力

 とはいえ、人間はマイナス40度でも戦争を行った歴史を持つ。1939年11月、ソ連がフィンランドに侵攻した「冬戦争」では、最高気温が氷点下の日も珍しくなく、ソ連兵の多くが凍傷で命を落とした。

「今は防寒具も発達し、NATO(北大西洋条約機構)軍が使うような冬服なら、厳冬期の戦闘も不可能ではありません。ただし、汗をかくと低体温症の危険があり、下着や靴下を小まめに取り替える必要があります。つまり、冬の戦争は、夏より多量の物資を必要とするのです」(同・軍事ジャーナリスト)

 極端な話、夏ならTシャツ1枚でも戦闘ができるかもしれない。だが冬は、弾薬だけでなく大量の防寒具や食料、暖を取るための器具などを運ぶ必要がある。

「米軍は寒冷地で戦う兵士用に、特別な戦闘糧食を準備しています。一般に知られる戦闘糧食(MRE=Meal, Ready-to-Eat)とは違い、MCW(Meal, Cold Weather)と呼ばれるもので、高カロリーで凍結の恐れのないフリーズドライの食品で構成されています。パッケージも茶色のMREとは違い、雪原で目立たない白色です」(同・軍事ジャーナリスト)

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