ドラマ「silent」大ヒットで「シモキタ」周辺が“聖地”に 小田急「再開発」を成功に導いた“地域密着”戦略

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街づくりは人 下北沢に気づかされました

 東北沢~下北沢~世田谷代田間の再開発を通して、向井氏は気付かされたことがあったという。

「下北沢に深く入り込んで、いろんな人に会いました。好きでこんなことやってますとか、NPO法人立ち上げましたとか、街が好きすぎて街案内のボランティアをやっていますとか、街を明るくするためにお店の前にキャンドルを並べるプロジェクトをしている方とか、主体性をもって色々やられている方がたくさんいたんですね。街はこうした一人ひとりの思いの積み重ねで出来ているのだと気づかされました。街作りは“人”です。面白い人が街に関われば関わるほど、面白い活動やビジネスが生まれて、 より魅力的な街、個性的な街になっていきます。以前はあまり街に入り込まずに開発計画を手がけることも多かったんですが、下北沢でしっかりと街の方々と向き合ううちに、こういった街作りのやり方もあるということを見出しました。ただ、下北沢は面白い人が集まっているので“支援型”がうまくいきましたが、どこでも当てはまるわけではないでしょうが」

 手がけた地域がドラマのロケ地となったことは「嬉しいですが、驚いてもいます。聖地巡礼される方がこんなにも多いのかと」。

 もうひとつ、向井氏にとって嬉しかったことは、子育て世代の姿が増えたことだ。

「東北沢~世田谷代田間の1.7㎞に渡って、歩行者専用の安全な遊歩道ができ、開発前より明らかに子供連れの方が増えました」

 向井氏らが仕掛けた街作りがこれからどんな効果を出し、下北沢地域が進化していくのか、楽しみだ。

華川富士也(かがわ・ふじや)
ライター、構成作家、フォトグラファー。1970年生まれ。昨年、長く勤めた新聞社を退社し1年間子育てに専念。今年からフリーで活動。アイドル、洋楽、邦楽、建築、旅、町ネタ、昭和ネタなどを得意とする。過去にはシリーズ累計200万部以上売れた大ヒット書籍に立ち上げから関わりライターも務めた。

デイリー新潮編集部

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