辛口コラムニストの2022年ドラマ総括 平均視聴率ランキングでわかった異常事態 良作揃いの意外な局は?(前編)

エンタメ 芸能

  • ブックマーク

Advertisement

 年末恒例となった辛口コラムニスト・林操氏によるドラマ総括。10月期だけでも、「silent」(フジテレビ)、「ザ・トラベルナース」(テレビ朝日)、「エルピス」(フジ/関西テレビ制作)など、話題作は少なくない。ところが……。

 ***

アナ:毎年恒例、民放連続ドラマのこの1年を振り返るベスト&ワースト発表を2022年もお送りします。ベスト&ワーストの選出と講評は、非国民生活センター・TV主席研究員の林操さんです。今年もよろしくお願いします。

林:いやもう毎回の繰り返しで申し訳ないんだけど、やるの、今年?

アナ:そのリアクション、予想はしていました。アレですか、今年もまた「ベストは3本も選べないし、ワーストは3本では足りない」というお話ですか?

林:いやいや、そういうレベルじゃないのよ、もう今年は。いいドラマはどれか、駄目なドラマはどれか、という話以前に、「あれ、今年、ドラマなんてやってましたっけ?」レベルの惨状だから。

アナ:うう、そこまでですか。

林:記憶にあるかぎり、過去最悪の年。過去最悪“級”とか過去最悪“水準”とかじゃなく、マジ正味で厳密厳正に過去最悪。コロナでドラマの玉が揃わなかった2020年より酷い。不出来な年でもあれこれウマいこと言いくるめてくるボージョレ・ヌーヴォーの宣伝屋さんでさえ、22年のニッポンの連ドラについては認めざるをえないよ、「生産者が葡萄に施したのは発酵ではなく腐敗であり、葡萄どころか小石まで混ぜ込んでいる」と。

アナ:うわ……。

林:だって、見ていて「これ、ホントにドラマ? コントか“どっきり”じゃないの?」と不安になる物件が多かったもの。もう作品だなんて呼ぶ気にならないし、数字(視聴率など)が悪くて商品にさえならず、「なんかよくわかんないけど、つまらない番組」としか言いようのない物件。

アナ:そこまで……。

林:「それってあなたの感想ですよね?」ってツッコんでロンパールームごっこしてほしいところだけれど、あいにくデータもあります。ほら、これ。

アナ:お、民放プライム帯の連ドラ作品の平均(世帯)視聴率・年間ランキングの一覧ですね(ビデオリサーチ調べ、関東地区)。ああ、ホントだ……長い低落傾向の中の過去5年分だけ見ても、今年はいっそう数字が伸びていませんね。年間1位の「DCU」(TBS系/日曜21時/1月期)からして平均14・43%の15%割れで、これは年間トップ視聴率として最低ですし、18~21年の3位の視聴率にさえ届いていません。

林:でしょ。しかも今年は、上位20位の過半数が10%割れ物件。去年までは平均視聴率1桁の物件がトップ20入りするなんてことはなかったから、もう大事故、大危機、大災害。

次ページ:低視聴率の底が抜けた

前へ 1 2 3 次へ

[1/3ページ]

メールアドレス

利用規約を必ず確認の上、登録ボタンを押してください。