辛口コラムニストの2022年ドラマ総括 平均視聴率ランキングでわかった異常事態 良作揃いの意外な局は?(前編)
低視聴率の底が抜けた
アナ:ランキングの下のほうを見ても大変なことになっています。平均視聴率5%割れが、
●「親愛なる僕へ殺意をこめて」(フジ系/水曜22時/10月期/3・8%)
●「純愛ディソナンス」(フジ系/木曜22時/7月期/3・93%)
●「新・信長公記」(日本テレビ系/日曜22時30分/7月期/4・37%)
●「初恋の悪魔」(日テレ系/土曜22時/7月期/4・67%)
●「テッパチ!」(フジ系/水曜22時/7月期/4・8%)
……と5本もあります。21年は1本、20年はなし、19年は1本、18年もなしですから、22年は飛び抜けている。
林:飛び抜けたどころか底が抜けたんですよ、もう今年は。ジャニーズ系主演ドラマで軒並み、この体たらくだもの。
アナ:確かに、ドラマの低視聴率が話題になることが多かったですもんね。5%割れが続出した7月期は「ブラックサマー」だという声をギョーカイ内でも聞きました。直前の4月期には「家政夫のミタゾノ」の新作・第5シーズン(テレ朝系/金曜23時15分)が深夜枠で平均7%も取ったのに……。
林:そうそう、プライム帯が深夜帯に劣後するザマ。ま、こういう話をしていると「まだ世帯視聴率なんかで番組を評価してるんですか。もうボクたちの評価軸は個人視聴率や録画率、TVer再生数に移ってきてますよ」なんて、ひろゆきの真似して冷笑してみせるギョーカイくんの顔が浮かぶけれど、そういう“オルタナ系”の指標がなんだかまた騒がれだしたのは今年の後半から。
アナ:おお、確かにそうですね。特にTVer再生数の話は最近盛り上がっています。
林:TVerだ録画だと声高に唱えているのは、さて誰なんでしょうね、と。世帯視聴率が酷いことになってスポンサーやら事務所やらへの言いわけがついに、本当に立たなくなって困りきったギョーカイくんじゃ、まさかないでしょうね、と。
アナ:ううん……。
林:ま、ワタシとしても旧態依然の世帯視聴率が唯一絶対の定量指標だとはまったく考えていませんので、今日もこの先は、この数字をベースとした話はもうしませんが。
ベストドラマは?
アナ:ではそろそろ2022年の連ドラ、ベスト&ワーストの発表をお願いします。例年どおり、まずワーストからでよろしいですか?
林:いや、今年はベストからいきましょう。しかも、ベスト3からのカウントダウンじゃなく、ベスト1からのカウントアップで。
アナ:おお、何もかもこれまでとは反対ですね。承知しました。ではまず今年のベスト・オブ・ベスト作品の発表から。
林:了解。ドゥルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルッ! 2022年・民放プライム帯連ドラのベスト1は、
●「鎌倉殿の13人」(NHK総合/日曜20時/1~12月)
……です!
アナ:……民放じゃありませんけど、まぁ、NHKや深夜帯のドラマがランクインすることは、これまでもありましたから……
林:ドゥルルルルルルル……
アナ:おおっ、またドラムロール。
林:続いて同率ベスト1は、
●「カムカムエヴリバディ」(NHK総合/月~金曜8時/21年11月~22年4月)
アナ:1位がもうひとつ、これもNHKで、しかも朝ドラだからプライム帯でさえありませ……
林:ドゥルルルルルルル……
アナ:また!
林:さらに同率ベスト1となったのは、
●「オリバーな犬、(Gosh!!)このヤロウ」シーズン2(NHK総合/火曜22時/9〜10月)
アナ:3本目の1位が、またNHK、さらには3話完結だから連ドラの枠にも入れにくい作品……。
林:「神聖でもなければローマでもなく、ましてや帝国でさえない」と言われた神聖ローマ帝国なんてのが実在してたんだから、「民放でもなければプライム帯でもなく、ましてや連ドラでさえない」という作品を選ぶ無理も堪忍してよ。それくらいの非常事態。
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