ホテルのフロントの女性も厚着のまま 停電でクリスマスを迎えるウクライナのいま

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今年中に終わらなかった戦争

 ウクライナでは、ロシアによりエネルギー関連施設が次々と破壊されたため、厳しい冬の最中も計画停電が続く毎日を送っている。今年2月に始まった戦争が終わる兆しも見えないまま、人々は新しい年を迎えようとしているのだ。

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 ウクライナ東部の同国屈指の工業都市であるドニプロ市。その中心部にあるドニプロ駅から徒歩3分の四つ星ホテルのフロントでは、夜になると小さなクリスマスツリーの電飾だけが光っている。

 フロントの女性も、暖房が効かないため、厚手の上着を着こむしかない状態。フロントらしくほほ笑んでいるがどこか寂し気にも見える。

 これがクリスマスを間近に控えた現地の状況である。

 なお、ウクライナやロシアで信仰されるロシア正教のクリスマスは、旧暦にもとづいた1月7日だ。

 ただ、ウクライナでは西欧と同様、12月25日も祝日として祝っている。

 10月、ロシアは南東部ザポリージャ州を含む4州を一方的に“併合”したが、州都ザポリージャ市は今もウクライナ側の統治下にある。

首都キーウの最低気温はマイナス20度

 同市を拠点に、ボランティア団体に同行して取材を続ける写真家の尾崎孝史氏が語る。

「インフラ施設が破壊され、寒い冬をどう乗り切るのか。早い段階から懸念していたボランティア団体は、夏の間に鉄工所に依頼して、数百個のまきストーブを製造していました。現在は11月に奪還した南部へルソン市など、各都市へ支援物資を運んでいます」

 この冬、首都キーウの最低気温はマイナス20度との予報もある。

 ウクライナではどの家にも集中暖房設備があるが、戦災の影響で機能していない建物も多い。また、毎晩のように停電するため、市民は上層階まで階段で昇り降りすることを強いられているという。

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