「創価学会批判をしていたジャーナリストを罵り…」 元信者が明かす池田大作名誉会長の選挙戦での姿

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選挙区の“譲渡”を要求

 先の本村氏は池田氏不在の影響について、

「以前の幹部会なら生身の池田名誉会長が出ていたのに、いまは古い映像を出してきたりする。それでは信者に伝わる力が違います」

 カリスマのかくも長き不在で減少し続ける比例票。それを食い止めるために公明党が頼るのは、自民党の「名簿」である。各選挙区で自民党に対し名簿を出すよう要求するケースが増えているのだ。

「自民党が持つ名簿は、個人名が記された後援会名簿と各種団体名簿の2種類があります。長年の情報が蓄積した名簿をそのまま渡すのは、魂を売り渡すも同然ですし、学会員に戸別訪問されれば、支援者から反発を食らうこともある。ですから“公明党に訪問されてもいい支援者リスト”を別途作成し、数百人単位で渡すことが多い。ただ、年を追うごとに求められる名簿の人数が増えていて、自民党内に不満が渦巻いています」(自民党関係者)

 さらに、要求されているのが選挙区の“譲渡”だ。

 この臨時国会で成立した改正公職選挙法では衆院選の選挙区が10増10減となる。

 公明党は比例での苦境を少しでもカバーするため、そのうち東京、埼玉、千葉、愛知の四つの選挙区で候補者を立てようとしているのだ。自民党幹部からは“四つも要望するとは”と怨嗟の声が聞かれ、実際に都連幹部は、

「公明に譲るいわれはない」

 と言い切る。しかし、茂木敏充幹事長の頭の中は少し違っていて、

「公明党に恩を売るために、少なくとも埼玉の新しい選挙区は公明に渡す考えのようです。公明側はそこに石井幹事長を擁立する腹積もりですが、自民の埼玉県連は先月、党本部に“新選挙区の支部長を公募で決めたい”旨申し入れたばかり。というのも、国政進出に意欲を示している埼玉県議が応募して出馬するといわれている。それを茂木さんが抑え込もうとしているのです」(自民党関係者)

池田氏の読書記録が発売

 政策面でのすれ違いも起きている。

「防衛費増額のための増税案に公明は強い反対意見を述べなかった一方、『国家安全保障戦略』など3文書改定に向けた与党協議では中国を『脅威』とした文言を巡って反発し、最後まで自民側ともめていました。その急先鋒だったのは北側一雄副代表です」(政治部デスク)

 公明党は1972年の日中国交正常化の前に3度訪中団を派遣し、共同声明の下地を作った。それゆえ親中政党として知られる。

「来年には山口代表の訪中予定もあり、中国問題は日中友好を重視する『池田大作マター』ですから、学会を刺激するような話題になると途端に反対ののろしを上げるわけです」(同)

 また、来年は公明党が国政選挙並みに重視する統一地方選が控える。その選挙に向け、ついに名誉会長の影が見え隠れし始めたという。

「来年1月、池田氏の読書記録が『完本 若き日の読書』というタイトルで発売されます。『第三文明』で連載していたものに、未発表原稿等を加えて書籍化されるのです」(学会関係者)

 学会に詳しいジャーナリスト・乙骨正生氏の解説。

「創価学会で求心力があるのは池田氏だけですから、影響力を最大限、選挙に生かすのが学会の戦略です。新刊の発売は、統一地方選を意識しているのと同時に、若かりし頃の池田氏の読書記録を詳らかにすることで、活動量の低い若手会員にハッパをかけたい思惑があるのでしょう」

 カリスマの幻影が現れる度、創価学会と公明党の落日はかえって、くっきりと浮かんでくるのである。

週刊新潮 2022年12月22日号掲載

特集「選挙で自公“密着”の深層 『池田大作名誉会長』かくも長き不在で『公明党』の落日」より

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