防衛増税騒動で岸田首相の強気はどこから来たのか? 安倍元首相との会話とは?

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根回し不足

 自民党税調は、防衛力強化に伴う増税案について執行部の一任を取り付けた。増税の実施時期について曖昧にする玉虫色の解決に納得の行かない面々もいるようだが、一連の騒動で得をしたのは一体誰なのか?

「2027年度に見込まれる1兆円の財源不足について、岸田首相が増税でまかないたい旨を唐突に表明して以降、自民党内のみならず政権内からも反発が起こりました。彼らは高市経済安保相ら、おおむね清和会に所属する議員たちで、共通していたのは“安倍元首相の思いに反する”というスタンスでした」

 と、政治部デスク。

「そもそも安倍氏が存命なら起こり得なかったことだと思います。岸田首相の悪い癖というか生来の頑固さが出たというか、根回し不足は否めませんでした。しかし、その一方で様々な反発は織り込んでおり、最終的にはそれも含めて取り込んで収められるという算段があったようです」(同)

 実際、そのような結果になったという意味では、ダダ下がりの岸田首相の求心力が勢いを取り戻すきっかけとなるのだろうか。

かなり踏み込んだ安倍元首相との会話

「その可能性はないことはないですね。やかましい学級委員会をなんとか収めた委員長といった感じでしょうか」(同)

 そもそも、岸田首相の“勝算”はどのあたりにあったのだろうか。

「安倍元首相から、防衛力強化への強い思いを直接聞いていたということでしょうね。防衛力強化は喫緊の課題で、そのためには協力を惜しまない、なんとか実現にこぎつけてほしいと言われてきたわけです。加えて財源不足については、ある程度は国債で補うことはあるかもしれないが、それに縛られることはないということは亡くなる前に話をしていたようです」(同)

 国債ありき、ではなかったということのようだ。

「そうですね。安倍元首相はデフレ脱却を掲げ、長期政権の間に消費増税を2度延期していますが、何が何でも自身の考えを押し付けようということはなく、岸田首相が判断すべきだと伝えていたようです」(同)

 かなり踏み込んだ会話を安倍元首相と交わしていただけに、岸田首相は、今回、思い切った行動に出ることができたということなのだろう。

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