近藤健介「7年総額50億円」で浮き彫りになった大型契約の“問題点”

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日本球界トップ

 8人の選手がフリー・エージェント(以下FA)権を行使した今年のプロ野球。最終的に5人の選手が移籍することになりそうだが(※12月14日現在、千賀滉大のみ正式発表はなし)、なかでも大きな話題となったのが、日本ハムからソフトバンクへの移籍が決まった近藤健介だ。【西尾典文/野球ライター】

 古巣の日本ハムを含めた5球団の“大争奪戦”となったこともそうだが、それ以上に驚かされたのが、7年総額50億円(推定)と言われる「超大型契約」である。固定年俸だけでなく、出来高の部分も含まれていると思われるが、単純に計算すると1年あたりの報酬は7億円以上となり、野手としては、柳田悠岐(ソフトバンク)の6億2000万円を上回って日本球界トップとなるのだ。ちなみに、7年契約という期間も日本人選手では最長タイである。

 近年では、FA権の取得の前後に大型契約を結ぶことは珍しくなくなっているが、この大型契約への批判も強くなっている。

 その要因の一つは、近藤の実績だろう。7年契約を結んだ5選手について、契約を結んだ時点での通算成績と契約内容を本記事の最後にまとめている。これを見ても、近藤の数字が突出していないことがよく分かる。特にホームランは松中、柳田、山田の3人と比べても明らかに少なく、長打率は4割台前半にとどまっている。出塁率の高さはさすがと言えるとはいえ、それでも他の3人の野手と比べて、優れているとはいえない。

他球団への移籍は避けたかった

 では、なぜ、ここまでの大型契約を近藤が勝ち取ることができたのだろうか。他球団の編成担当者は以下のように分析している。

「ソフトバンクは、基本的に金銭面の条件を理由に断られるということが球団としてNGと言われています。外国人選手の獲得に関しては、それが大きな強みになっており、過去にはデスパイネや今オフに契約が決まったオスナなども、その例です。もうひとつ大きかったのは、獲得に名乗りをあげたのはオリックス、西武、ロッテと全て同じパ・リーグの球団だったことだと思います。特に、優勝を争ったオリックスに近藤が加わることは避けたかったのではないでしょうか。オリックスも、(レッドソックスへの移籍が決まった)吉田正尚のポスティングがスムーズに決まって資金ができたことで、条件の上積みがあったと思いますが、さすがに、ここまでの条件を提示することはできないですよね。そういう意味では、近藤にとってはいろんな“幸運”が重なって、好条件での契約になったと言えると思います」

 近藤もソフトバンクも“ルール違反”をしているわけではなく、条件の良いチームと契約するのは何らおかしなことではない。ただ、他球団や過去の事例と比べて破格の契約ということで、注目が高くなったことは確かで、近藤にのしかかるプレッシャーも相当なものになるはずだ。

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