まだ続いている「怪盗ロワイヤル」 サービス開始から13年、長寿の秘訣は「常連客」にアリ

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 1兆3,060億円。これは「2022CESAゲーム白書」が発表した2021年の国内のスマートデバイスゲームアプリ市場規模である。スマートフォンやタブレットでプレイするゲームは国内の市場を引っ張る存在だといえる。それだけに競争も激しく、毎月のように新たなタイトルが生み出されてはあっという間に消えていく。そんな中、2009年9月のサービス開始以来、実に13年もの間続いているモバイル向けゲームがある。Mobageが展開する『怪盗ロワイヤル』だ。

 いまやスマホゲームのサービス終了が発表されるたびに「『怪盗ロワイヤル』はまだ続いている」とSNSでネタにされるほどの長寿作だが、そんな存在になぜなれたのか。プロデューサーの浅間圭介さんに話を聞くと、見えてきたのは老舗ラーメン店のような定番の味を守り抜く心意気だった。【徳重龍徳/ライター】

『怪盗ロワイヤル』は2009年9月、DeNAが運営する携帯電話向けサービス「モバゲータウン」(現Mobage)でスタートしたゲームだ。ユーザーは怪盗団のリーダーとなり、世界中のお宝を集めてコンプリートを目指す。時に他のユーザーにバトルを仕掛け、時にゲーム内の仲間と協力プレイをするのが特徴だ。数百万単位のユーザーを獲得する大ヒット作となり、ソーシャルゲームの代名詞とも呼ばれた。

『怪盗ロワイヤル』のヒットによって、低迷気味だったモバゲーは一気にソーシャルゲームのトップとなり、2010年代前半のモバイルゲーム市場をGREEと二分した。CMには戸田恵梨香、木梨憲武、江口洋介などの著名人が起用され、2011年には松坂桃李主演で実写ドラマ化もされた。ゲームをしない人でも一度は聞いたことがあるタイトルだろう。

 成功の理由の一つに、いわゆるゲーマー以外の一般層を取り込んだことがある。複雑な要素を徹底して排除したゲーム性、イラストレーターのワカマツカオリさんのスタイリッシュなキャラクターデザインなどにより、それまでゲームをやらなかった女性層の獲得にも成功した。

 浅間さんも、当初からゲーマー向けゲームでなかったことが、現在も『怪盗ロワイヤル』が続いている秘訣だと語る。

「最近出ているゲームはゲームが好きな人、いわゆるゲーマーが遊ぶゲームですが、『怪盗ロワイヤル』は携帯電話でゲームを遊ぶ文化がそれほどない、いわゆるガラケーがメインだった時代に出てきたゲームです。今も残ってくださっているユーザーさんもいわゆるゲーマーではない方々が中心で、それが新しいゲームが出ても、ブレずに『怪盗ロワイヤル』で遊んでくださっていることに繋がっています」

常連ユーザーの心をつかむ「変わらなさ」

 新規ユーザーはほぼ入っておらず、現在も『怪盗ロワイヤル』のプレイヤーはゲームが登場した当時から今も遊び続けている人がほとんどだ。実際、2017年に総プレイヤー数は約1,450万人と発表されたが、2022年現在もこの数字は変わっていないといい、年齢層でいえば40~50代の男性が多いという。

「盛り上がっている時期に比べればもちろんアクティブユーザーは減っていますが、その分課金して遊んでくれるようなコアなユーザーの方はずっと残っていますし、長く時間を割いて遊んでくれています。上位の10人はゴッドランクと呼ばれるんですが、毎日ハードにログインしないと追いつかないぐらいの人数が参加していますし、今でも変わらず盛り上がっています。ユーザーさんたちの中で『この時間は怪盗ロワイヤルが遊ぶ時間』と生活リズムの中に入っていることは大きいと思います」

 こうした常連ユーザーの心をつかみ続けるために『怪盗ロワイヤル』が大切にしているのが「変わらない」ことだ。お宝集めがメインだった内容から、カンパニーバトルと呼ばれるカードバトルへと遊び方の変更はあったが、ゲームの根幹はブレずに踏襲している。

「当初からある、他の顔も見えないユーザーさんたちとのコミュニケーション――お宝の奪い合いであったり、チームを組んだりという根本の面白さを残す。そこがブレないよう13年間続けているところが大きなポイントです。ユーザーさん同士で争った結果『おめでとう』と言ってもらえるみたいな、承認欲求を満たせるようなゲームであることは常に念頭に置いています」

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