ロシア軍の砲弾不足はかなり深刻 かつての仲間はNATOへ寝返り、経済制裁による影響も

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韓国も注目

 ウクライナもかつてはワルシャワ条約機構の一員だった。そのため砲兵は、152ミリ砲弾を使い慣れている。だが、こちらには“追い風”が吹いたようだ。

「NATOが使う砲弾は155ミリで統一しています。そのため、ポーランドやエストニアといった国は、NATOの仕様に更新している真っ最中です。不要になった152ミリ砲弾は、とりあえず倉庫に保管していました。ロシアとウクライナの戦争が始まると、この152ミリ砲弾がウクライナに送られ、ロシア軍の侵略を食い止めるのに重要な役割を果たしたと言われています」(同・軍事ジャーナリスト)

 その後、ウクライナ軍の砲兵はNATOの榴弾砲を使う訓練を受け、アメリカやフランスから供与を受けた榴弾砲や砲弾を使いながら戦っている。

「万が一、アメリカの155ミリ砲弾が枯渇しても、フランスやドイツといったNATO加盟国も全く同じ砲弾を持っています。ヨーロッパの各国が備蓄する砲弾が使えるという点は、ウクライナ軍にとって非常に大きなメリットでしょう」(同・軍事ジャーナリスト)

 そして韓国も注目を集めている。155ミリ砲弾を製造しているからだ。ロイター(日本語・電子版)は11月11日、「韓国、米への砲弾供与を協議 ウクライナ向けとの報道も」との記事を報じた。

巨大特需

「韓国の国防省がアメリカに砲弾を供給するか協議していることを認めたため、それをロイターが報じました。この直前にウォール・ストリート・ジャーナルが『韓国がウクライナ向けの武器を米国に売却することで合意』というスクープ記事を報じていたのです」

 以前からロシアは「韓国がアメリカに武器を供与すれば、韓ロ関係は破綻する」と警告を発していた。韓国政府も慎重になっていることがロイターの記事からも浮かび上がる。

「とはいえ、もともと韓国の軍需産業は155mm自走榴弾砲K9を軍事装備品輸出の主力商品に位置づけ、砲弾ともども多くの国に納入してきた実績があります。『砲弾はアメリカ軍が使うもので、ウクライナは関係ない』というロジックで押し切るのではないでしょうか。戦車、戦闘機、自走榴弾砲の輸出が好調な韓国は日本円で兆円単位の特需が生じると見る専門家もいます」(同・軍事ジャーナリスト)

デイリー新潮編集部

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