コロナ騒動後、大量のアクリル板などの廃棄物はどこへいくのか 「フィーリング」で進む環境問題への違和感(中川淳一郎)

  • ブックマーク

Advertisement

 環境活動家ってアレ、本気でやってるんですかね? ロンドンの美術館で活動家がゴッホの「ひまわり」にトマトスープをかけるという暴挙に及び、世界的に注目されました。ただの目立ちたがり屋にも見えるんですよ。だって、この人たちって先進国の人間であり、散々エネルギー使ってます。

 スウェーデンの活動家・グレタさんにしても目立つことばかりやっている。国連会議のため大西洋をヨットで横断しましたが、毎回、ヨットで何週間もかけて非現実的な移動をしているのでしょうか。日本でも愛知の環境活動家が子供たちを引き連れて東京・新宿で街宣をしていましたが、絶対、車か電車で移動していますよね。そもそもあなたが着ている服、プラスチックでできているんじゃないですか?

 私が決定的に環境活動家をうさんくさいと思ったのは、「ウミガメの鼻にプラスチック製ストローが入る」写真と、「レジ袋が海洋汚染につながる」という2点をもってプラスチックの削減を訴え、実際にレジ袋を有料化させ、さらにはコンビニのスプーンの有料化まで検討させた件です。それに、私が大学入試をした1993年、小論文で予備校講師が「地球温暖化について懸念を示せば通る」と助言した件。あれから29年経っても延々と地球温暖化への懸念を示し続けている。

 そしてこうした環境活動家による活動の成果により、無事レジ袋は有料化されました。めでたしめでたし。

 んなワケねーだろ! レジ袋が有料化された2020年7月1日以降、スーパーやコンビニの従業員は「レジ袋は必要ですか?」「マイバッグはお持ちですか?」という余計な一言を言わざるを得なくなった。

 そして、コロナ騒動のせいでレジにはビニールカーテンが設置され、何を言っているのかが聞こえない。「えっ?」と聞き直すことが増えました。その間に互いに大声をあげて「レジ袋いりますか!」「あぁ、いらないです!」と飛沫飛ばし合戦に。

 SDGsに熱心な方はぜひとも批判していただきたいのですが、コロナ騒動開始からアクリル板とビニールカーテン、大量に導入されましたね。不織布マスクも石油由来です。毎日道に落ちているのを見ますし、皆さん、毎日新しいものを使ってせっせとプラスチックゴミを増やしていますね。

 なんでレジ袋がそこまでヤバいんですか? コロナ騒動終わったらアクリル板なんて大量の産業廃棄物になるのは目に見えています。日本全国で大普及し、メーカーはテレビCMを大々的に打つほどになりましたが、ゴミになった時、きちんとその量を検証するとは思えません。

 結局、環境問題ってフィーリングなんですよ。私が就職活動をした時も「環境問題に興味があります」と言えばなんとなく通る雰囲気があり、学生はそれを言いまくった。そして今、ファストフードやコーヒーチェーンでもストローを紙にする流れがありますが、なんかおいしくないんですよ……。大塚製薬のポカリスエットも環境のため、リターナブル瓶を導入し、返却したら70円を返す、とやりましたが、あまりにデザイン性に優れていてインスタグラムにUPするため返さない人が多いそうです(笑)。

中川淳一郎(なかがわ・じゅんいちろう)
1973(昭和48)年東京都生まれ。ネットニュース編集者。博報堂で企業のPR業務に携わり、2001年に退社。雑誌のライター、「TVブロス」編集者等を経て現在に至る。著書に『ウェブはバカと暇人のもの』『ネットのバカ』『ウェブでメシを食うということ』等。

まんきつ
1975(昭和50)年埼玉県生まれ。日本大学藝術学部卒。ブログ「まんしゅうきつこのオリモノわんだーらんど」で注目を浴び、漫画家、イラストレーターとして活躍。著書に『アル中ワンダーランド』(扶桑社)『ハルモヤさん』(新潮社)など。

週刊新潮 2022年12月8日号掲載

メールアドレス

利用規約を必ず確認の上、登録ボタンを押してください。