日本初の“ろう者俳優”は「silent」をどう観たか 想と紬の手話は「全身全霊」

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「silent」(フジテレビ・毎週木曜22時放送)は、今期1番の注目ドラマと言えるだろう。動画配信サービスTVerでの見逃し配信が歴代最高記録を塗り替え、ロケ地は“聖地巡礼”のためファンが殺到。支持を集める理由はさまざまあるだろうが、1999年にデビューし日本初のろう者主演俳優となった忍足亜希子さん(52)が注目するのは、手話とろう者の描き方だ。

2人のろう者俳優が出演

「silent」でSnow Manの目黒蓮(25)が演じるのは、難病を発症し、ろう者(聴覚障害者)となった佐倉想。高校以来の再会を果たした元カノ・青羽紬(川口春奈(27))は、想と話すために手話を習い始める。

「『silent』に江副悟史さんと那須映里さんのろう者2人が出演していることが感動するほど嬉しいです」

 と語るのは忍足さん。生まれつき耳が聞こえないろう者の俳優として、1999年公開の映画「アイ・ラヴ・ユー」に主演。ドラマや舞台で活躍を続けている。

「2017年放送のドラマ『コウノドリ』では、私と夫で俳優の三浦剛が手話監修として参加しました。我々夫婦の出産、育児の経験をもとにドラマのエピソードが作られたのですが、この時もろう者役を耳の聞こえる俳優が演じました」

 アカデミー賞を受賞したアメリカ・フランス・カナダ合作の映画「コーダ あいのうた」(2021年)では、ろう者俳優がろう者役を演じたことが話題になったが、日本ではいまだにろう者役を耳の聞こえる俳優が演じることが一般的である。

 ろう者役をろう者が演じることの重要性については、

「さまざまな役柄を演じるのが俳優の仕事ですが、やはりろう者の役は本当のろう者が演じる方が自然だと思います。もし私が聴者の役を演じたら、リアルに感じるでしょうか。私は生まれつき音も声も聞いたことがないですから、聞こえる方がどんな風なのか想像しながら演じたとしても、やはり不自然になってしまうと思います。ろう者をろう者が演じないというのは、それと同じ感覚なんです」

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